夜の帳が落ちた頃、路地裏の闇に紛れるように一人の男が木の葉隠れに降り立った。



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窓の開く音で目が覚める。
侵入者は窓枠に手を掛けたかと思えば素早く部屋に入り込んできた。
そして俺が上体を起こすのを防ぐかのように、ベッドに乗り上げてきた。

「…サスケ」

名を呼ばれたの男は、その端正な顔を上げた。
満月の光がさらに彼の眼光を際立たせている。
サスケは、柔らかく包み込む布団を剥ぎ取り、温もりを奪う。
肌寒さを訴える身体に自身の体温を分け与えるように、がっしりとした腕でくるまれた。
これは何度も施されたある行為の始まり。
首筋に小さな痛みが走り、俺はもう一度瞳を閉じた。

幾多の任務をこなし、俺達は上忍にまで上り詰めていた。
様々な経験をして、身体は勿論のこと精神的にも成長を果たした。
部下の数も見る見る内に増え、七班時代のカカシ先生と同じように下忍育成のためマンセルも組んでいる。

ただ、かつての親友うちはサスケを里に連れ戻すことは叶わなかった。
同年代や火の国の忍、他里出身の者など沢山の人々が力を貸してくれたが、彼を追い詰めることは出来なかった。
皆次々とサスケの奪還を諦め、気がつけば声を上げて追いかけていたのは自身のみだった。
今でも機会を伺ってはいるが、時が経つと共に二人の間を繋いでいた絆が朽ちてゆくのが分かって、悲しかった。

しかしある日を境に、サスケは屡々ナルトの元に姿を現すようになった。
そして、再会を懐かしむ間も与えられずに犯された。
翌朝、涙で濡れた頬以外はさっぱりと清められているのだ。
夢だったのかと胸を撫で下ろすと共に存在を主張する腰の鈍痛。
行為の跡を残さなかったのは、彼の口癖の気まぐれが、それとも心の端に残された優しさか。
身体を重ねる回数が片手で足りなくなっても、彼が真実を口にすることは無かった。
サスケは俺の身体の隅々に刻み付けるように、行為の感覚が曖昧になると決まって現れる。

そして今日も。

「っふ……はぁ…、…ん!」

蛇のように這い回り、弱点を暴いていく冷たい手。
情けない声で空気を震わせ、早々と高められてしまった。
達したばかりで、だらしの無く曝け出された肢体に嘲笑がかかる。

「…はっ、エロい身体になったもんだな」

低く身体の芯まで響く、やや甘く掠れた声。
無口無表情無愛想と三拍子揃った男の顔には、冷ややかな面持ちと対比する熱を含んだ黒炎が鈍く光る。
そこには、隠しきれぬ興奮が俄に滲んでいた。

「…うっせ、てばぁ…!」

男としてのプライドを裂かれるようなことを耳元で囁かれるが、甘い吐息が邪魔をしてまともな悪態すら付くことができない。

サスケはそれに厭らしい笑みで返し、先程零れた白濁を指に絡ませるように先端を撫ぜた。

あやすように、時には爪を立てて不規則な愛撫を施す。
蜜音を態と立てられ、恥ずかしさが込み上げてくる。
二対の黒曜に朱み増す自身の顔が映り堪らず目を瞑った。

散々嬲られた後、彼の手が雄芯から離された。
間髪入れずに後孔に入り込む骨ばった指。
掻き回されたかと思えば、すぐに動きが止まった。

愉快にこちらを眺めていた男の顔に、不審から来る影が生まれた。
そして何かを確認するように指で中を触られる。

険しくなっていく男の顔を盗み見る。

中から圧迫が消えたと感じるより早く髪を力強く引っ張り上げられた。

「…お前、誰にヤられた」

眉間に皺を寄せた、射干玉の黒が俺を凄む。
彼の怒りが身体の芯まで染み渡ってくるみたいだ。

突然憤怒を見せたサスケに驚きを隠せなかった。
少しは心配でもしてくれているのだろうか。
だが俺は自分のことを棚に上げて、感情を露にするサスケに怒りを覚えた。
レイプ紛いの行為を犯した者に、俺を心配する権利など有ると思っているのだろうか。

「…俺が誰と何をしてようが、お前には関係ねぇってばよ」

怒気を含んだ、しかし冷たい声で俺は言った。
売られた喧嘩は買う精神で、サスケの怒りに油を注ぐような、肯定とも否定とも取れるような曖昧な返事をする。

寧ろ意地を張ったという方が正しいだろう。
忘れた頃にやって来るこの男の、卑猥な感覚を思い出す度に自慰は激しさを増し。
終には自らの後ろにも手を伸ばすほどになった。
そんなことをこの男が知ったら。

案の定サスケは瞳の色を変え、身体の下に手を入れてうつ伏せにされた。
そして慣らしもせずに自身の高ぶりを捩じ込んできた。

「…っぐ!」
「…どこの誰とも知らねえ奴に手垢付けられてんなよ」
「はあっ?!…どっ…、ぃう…意味だ……ぁあ!!」
「俺はお前の身体気に入ってんだよ、だから誰にも使わせんな」

そう耳元で囁きながら、腰を上下に揺すぶられる。
余り濡れてもいない中を掻き回され、痛みを感じながらもサスケの生む微動からくる快楽を拾う。
耳の後ろにサスケの熱い吐息がかかる。
それに軽く身震いし、連動して彼自身を締め付ける。

「…っ」

サスケの息を飲む音が真後ろから聞こえる。
体内に埋まる質量が増し、より深く抉られる。

「…、っう!」

先走りにより滑りが良くなり、律動が速まった。
最奥の敏感な場所を何度も突かれ、チカチカと視界が白く光る。

花芯にも手を絡められ、過敏な二ヶ所を同時に蹂躙される。
背中が弓なりに撓み、全身が小刻みに震えた。
開きっぱなしの口からは、言葉を成さない甘やかな嬌声が溢れる。

サスケはそんなナルトの耳元に口を寄せ、何かを言った。

そしてギリギリまで引き抜き、間髪入れずに最奥へと灼熱を打ち付ける。

自身から白濁が勢い良く溢れ、同時に体内に熱が広がるのを感じ。
俺は意識を失った。



サスケは緩急な動きで、ぬかるみから自身を抜き取った。
意識のない男の金糸に指を絡め、幼さ残る顏を眺める。
薄く開いた口唇に己のそれを乗せ、柔らかく啄む。

「お前は、俺のものなんだ…ナルト」

三本の痣を優しく撫で、愛しげな視線はそのままに彼から手を離した。

ベッド脇に彼の受け持つ生徒との集合写真を見つけ、一人優越感に浸る。

「こんな姿…、俺以外誰も知らないんだよな」

知る機会もねえけどな、そう付け足してもう一度ナルトに口付けを贈った。

次はこいつらをネタに愉しませてもらおうと口角を上げながら。