放課後の職員室って、凄くにぎやかなんだ。授業終わって先生たちが殆どいる。もしかすると一番好きな場所かもしれない。
そんな中、私は端の机を借りて愁夜先生に勉強を教わっていた。
特に政経は苦手なのもあってか、休んだ分を自分でやろうと教科書を開いてもさっぱりだった。
だからと言って教えて貰ってわかるかと聞かれたら右から左に抜けてっちゃう感じもあるけど、一人でするよりはよっぽどいい。
「……」
「…猫市さん、大丈夫ですか?」
「あっはい…にゅ…」
 ついて行く事で必死で頭が回ってない。困ったなぁと机に突っ伏す。
折角先生に時間を貰って勉強会して貰っているのに、わからないなんて言えない。テストで0点取ったらどうしよう。
嫌な考えばっかりが浮かんで憂鬱になった。
「難しい…」
「焦らないで勉強しましょう。まだ間に合いますから」
「…はぁい」
 返事をして時計を見上げれば6時に近かった。これ以上は先生に迷惑がかかりそうだと判断して、切り上げる事にした。
先生にお礼を言いながらノートと筆箱を鞄の中へしまう。わからない所は家に帰ったら勉強してみよう。
小さくため息をつきながら顔をあげたら先生の手が目の前にあった。その手が軽く握られている。
「…?」
「お疲れ様です。手、出して下さい」
 先生に言われるがまま手を出したら、掌の上にころんと飴玉が落ちた。薄ピンク色の包装紙で包まったいちごミルクの飴。
「…飴…」
「甘いものは脳の栄養になりますから。続き頑張って下さいね」
 ふわり、と先生が笑って席に戻って行く。飴を貰った事よりも先生の笑みがあまりにも柔らかくて綺麗で見とれてしまった。
胸の辺りがキュンとなったのは多分、気のせいだろう。


まぁその飴は私の口に入る前に久楼先生にとられてしまったのだけど。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -