最悪だ、と露出する口元が小さく形作られた。
微かに震える腕をのければ俺から目をそらし微かに頬を染めた愁夜の顔。思ったよりもこの男は初心らしい。
「…なんだ。慣れてねぇの?」
「……退いて頂けませんか」
 俺の質問には答えず目も合わせないまま細い腕で俺の胸を押す。少し力を入れたら折れてしまいそうだ。まぁ、そんな事はしないが。
 愁夜の言葉を聞かずに細い体を服の上から撫でれば、愁夜が喉の奥から喘ぎ声とも悲鳴ともつかない声が漏れた。
声が漏れた瞬間愁夜は大きく目を見開き、口元を押さえる。
「敏感なのな、お前」
「っ…うるっ…さっ…」
 ベッドから身を起こそうとしていた愁夜は大した抵抗も出来ず俺の下に逆戻りする。白いシーツの上に柔らかい黒髪が散る。
合間で光る金と白が綺麗だった。服を脱がそうと手をかけた瞬間右ストレートが顔めがけて飛んできた。
左手で押さえたから顔には当たらなかったが。
「しゅーや先生怖い」
「貴方は馬鹿ですかっ!?ここが何処だか知って…!」
「保健室の窓際のベッドの上、だな」
「…っ…」
 薄いカーテン一枚。その内側と外側の温度差。
頭の横にずらしていた面をベッドの後ろ側へ投げた。まだ文句を言おうと開かれた愁夜の口を無理矢理キスで塞いでベッドへ倒れ込む。
熱い口内を責めてやれば抵抗していた体が徐々に力を失った。粘膜同士が擦れ合う感覚が気持ち良い。
「はっ…ぁ…っ…」
 口を離し愁夜を見下ろせば普段凍りついたように冷たい目が熱を帯びている。
その表情が見てみたかった。相手が諦めてしまえば…あとは引き摺り降ろすまで。抵抗の無くなった愁夜の服を改めて脱がして行く。
「鏡藍なら、あと1時間はこねぇよ」
 野暮用で学園外に出ているからだ。
保健室自体も今日は生徒には開放しない事になっているため、実際保健室の中には俺とこいつの二人だけ。
「保険体育の授業してやるよ。個別授業だ」
 空気へ晒した抜けるような白い肌に指を這わせながら笑えば、愁夜はまた最悪だと苦々しく呟いた。


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