「二年三組、伊江藤栄知ちゃんだぜ」

 笑顔を崩し大きな瞳を見開いた彼女から、同い年とは思えない程の威圧感が産まれた。
私に絡んでいた男子が青ざめた顔を見合わせて逃げていく。
ああ、一人ずっこけた。膝に青あざ出来ちゃうよ。
「大丈夫?怪我なーい?」
「あ、うん、ありがとう…」
「女の子襲うなんてあいつ等童貞かな。食べちゃえば良かった」
 ぶーと唇をとんがらせて男子が逃げて行った方向を見る彼女…栄知ちゃんはさらっと凄い事言った様な気がしたけど何とかスルーした。
すると栄知ちゃんはくるりとこっちを向いてニコニコ顔のまま私をじっとみてくる。
思わず体が竦んだ。


二年三組、通称「ニノサン」


 キャラ化学園において最大最悪と言われるクラス。担任の皇先生が率いる無法地帯。
いや、中には普通の子とかもいるんだけど、何故かぶっ飛んだ子が集まるクラスらしい。先生たちも手を焼いてるとか。
栄知ちゃんも名前と噂だけなら聞いた事があった。大天使、とか。
本当なのか知らないけども、彼女の頭にはくるりとわっかが付いている。
「あの…」
「君可愛いね!」
「えっ……」
 にぱっと明るい笑顔のまま言われて、思わず頬に朱が走る。何だろう、凄く照れる。
真っ赤になった私を見て更に栄知ちゃんは愉快そうにニコニコしてる。
棒立ちだった私の手を握り、ぐいっと身を寄せてくる。わああぁ近い近い。
「お友達になろう!!」
「は、はい!?」
「えへへー助けた相手とお友達なんて素敵じゃないか!名前は?クラスは?好きなものは??」
「えっと、えっと…!」
 ぐいぐいと近づき質問で責めてくる栄知ちゃんに私はたじろぎ固まる。
結局その後廊下を見回りしていたひじきえもん先生が止めてくれるまで栄知ちゃんから質問責めを受け、授業に大幅に遅れてしまった。
それでも素敵な友達が増えた事は嬉しかったけど。



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