「今日は電流と電圧の関係についての所からだな」
 ひじきえもん先生の声に教科書を捲りノートを開いた。多分この前の続きだろう。黒板に向かい文字を書く後ろ姿を眺めていた。
カツカツとチョークが黒板の表面にぶつかるたび、先生の体も合わせて揺れる。…けど、なんだか違和感を感じてひじきえもん先生に目を向ける。
頭が妙にゆらゆらと揺れていた。まるで首から取れてしまいそうな危うい状態によくわからない不安に駆られる。いやまさかそんなわけあるまい。
「じゃあここの中に当てはまる単位を―――お?」
「ひっ…!!」
 黒板へ字を書き終えたひじきえもん先生がこちらを向いた瞬間、揺らいでいたひじきえもん先生の頭が軽い音を立てて体から外れた。
表情は変わらないまま、中へ投げ出された頭は床にぶつかり軽くバウンドして止まる。
何故か周りの友達たちは普通にノートを取っている。
何が起きているのか頭がついていかない。
「え…っあ…?」
「ネジがゆるんでたんだな。失敗失敗」
 床に転がった先生の頭から声が聞こえて、ますます頭の中が真っ白になった。
ぐらりと傾いた頭のないひじきえもん先生の体に咄嗟に顔を覆って悲鳴を上げた。




「っひぎゃあああっ!!」
 ビクンと体が大きく震えて座っていた机に脚が当たる。地味に痛い。
ハッとして辺りを見たらクラスの子達の視線が私に集まっていた。何が起きているのか、把握が出来ない。
とりあえず居心地が悪くなり頬に熱が集まるのが分かった。
「猫市ちゃん…?」
「え…あ…」
「具合が悪そうに見えたから寝かせて置いたんだが…悪夢でもみ」
「ぎゃああああああああああああああああ!!!!!」
 耳に飛び込んできたひじきえもん先生の声に反射的に悲鳴を上げてしまい、私は頭に鉄拳を喰らう事になった。ついでに職員室での説教付き。
何であんな夢をみたのだろう。痛む頭を摩りながら涙目で先生の説教を聞いている事しか出来なかった。

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