それは休み時間の事だった。次の授業の教科書を机の上に出し、ふと顔を上げた先の光景。
クラスメイトと話す夜臼さんの尻尾をじっと見つめる増長さん。
違和感はない。ない、はずなのだけど。彼女の右手にはネズミのパペットがはめられていた。
「……」
 夜臼さんは増長さんに気付いていない。楽しそうに会話をして笑っている。
ゆらりと大きく尻尾が揺れてぴたりと止まる。止まった瞬間、増長さんが動いた。
可愛らしいネズミが尻尾の先へ伸ばされ、口がぱくりと尻尾を咥えた。
力はそれほど入れていないのだろう。それでも無防備な夜臼さんを驚かせるには十分すぎた。
「ひにゃあああああぁぁっ!!?」
 甲高い悲鳴と共に細い尻尾が倍近く膨れ上がる。
流石にそこまで反応されると思ってはいなかったらしく、増長さんも何処か驚いた様子で尻尾から離れた。
くるりと夜臼さんが増長さんの方を向く。怒った顔。目元には薄く涙が溜まっている。
「まぁちゃんのばかー!!!!!」
 彼女の叫びと共に夜臼さんのビンタが増長さんの頬にぶち当たった。
それでも増長さんが何処か幸せそうに見えたのは気のせいだろうか。


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