「ますみちゃん」
「も、もっと呼んで下さい」
「ますみちゃんっ」

 舌っ足らずな夜臼の声が保健室の中に響き、幸せそうに表情を緩める四巡の姿。
傍から見たら兄と妹の様な微笑ましい光景だが、全くの赤の他人である。
その上夜臼は四巡と向かい合う様に膝に乗せられていて、きょとんとしたあどけない顔で目の前の四巡りを見上げていた。
「……四巡」
「何ですか先生」
「…酷い顔だな」
「酷いです先生」
 鏡藍に酷い顔と言われても四巡は表情を緩めたまま笑顔を保つ。
夜臼は飽きて来たようで尻尾をぴたぴたと振りながら胸元のリボンを弄っていた。
「ゆうちゃん、クッキー食べませんか?美味しいの貰ったんです」
「クッキー!たべる!」
「……はぁ」
 再度だらしなく鼻の下を伸ばし夜臼の頭を撫でている四巡と、撫でられご満悦な様子の夜臼。
鏡藍はその様子に呆れながらも2人分の紅茶の用意を始めた。


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