時計の音と微かなパソコンの駆動音が職員室の中に響く。猫は一人作業をしていた。
パソコンの傍らに置いたティーカップには淹れたまま殆ど口をつけていないコーヒー。すでに冷えて湯気は消えている。
「……っと。こんな時間か」
 壁に掛けられた時計の針は7時半を過ぎた所だった。とっくに他の教師は帰っていて、残るはおそらく猫だけだろう。大きく背伸びをし立ち上がる。
電源を落としたノートパソコンを閉じ残っていたコーヒーを飲み干して職員室を後にした。
廊下は所々しか電気が付いていない。暗い中猫は昇降口へ向かいゆっくりと歩いていく。
階段を下り一階の廊下へ足をつけた瞬間、猫の脚へ何かがまとわりついてきた。
「っな…!?うわっ」
 バランスを崩し階段へ体をぶつけると思われた猫の体は転ぶ事無く複数の細長い触手に支えられる。
階段へぶつかる事は免れたが代わりに体の自由を失った。体にまとわりつくそれを取ろうともがくも徒労に終わる。
「って…なんだこりゃ…!?」
 階段の上に下ろされるも触手まだ猫を離そうとしない。それ所か猫の服をたくし上げ服の中へ侵入しようとする。猫の体が強張った。
猫の気を知ってか知らずか、好き勝手触手は動く。猫の抵抗などもろともせず体中を蹂躙していった。
撫でるような動きからいつしか愛撫の様なものに変化する。
異常な状況に猫の中で警鐘が鳴らされるも、体に流れ出した微弱な快感に抵抗する力も無くなっていった。
「ん…っはぁっ…はっ…」
 下半身にまで触手の勢力は伸ばされていた。いつの間にかはいていたズボンも取り払われ、熱を帯び怒張した猫自身が露わになる。
ぬるりと先端に触手が這い耐えがたい程の快楽が走り猫は嬌声を上げた。
絶頂へ達してしまいそうな中、暗闇から現れた人物に猫は目を見開く。
「おま…っ猫市…?」
「……」
 闇で満ちた廊下から現れたのは担任であるクラスの生徒、猫市。
いつも喜怒哀楽どれかしら表情を浮かべている猫市の顔は全くの無表情。
明らかに普段の彼女と違うのは血の様に赤く染まった左目と、影から何本もの異形…触手を出現させ猫を蹂躙している事。
「おいっ…ねっ…っは…あぐっ…」
 猫の男性器を扱く触手の動きが激しくなった。猫の言葉が途切れ喘ぎ声に変わる。
その様を見ても猫市が表情を変える事はない。
「っくぅ…っ!」
 声を押さえて達した猫の体が大きく震え、だらりと弛緩した。黒い触手に白濁が映える。
ふらふらと猫に近づいた猫市は熱の篭った様な目をしていた。猫の前に跪き太股を伝う精液を舐めとる。
猫は熱に浮かされたまま身悶える事しか出来なかった。
「は…ぁ…や…っ…」
「せんせい」
 猫を呼ぶ声は機械の出す声の様だった。猫市は恭しく猫の上に身を重ねる。
猫の火照った体に猫市の着ている白衣が当たりひやりとする。普段ならその細い体をすぐに剥がす事が出来ただろう。
しかし今は叶わなかった。
「いただきます」
 背後で触手がうねる逆光の中猫市の顔が笑った様に見えた。


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