「ひふへーひはふ」
「行儀悪いでありますよ」
 口の中にぺロキャンを突っ込んだまま職員室に入ったら久楼先生にとがめられる。
そこまで強い口調じゃなかったから、そんなに怖くなかったけど。
目的である猫先生は生憎席を外していたようだった。
なので持ってきたプリントを置いて帰ろうとした時、久楼先生の視線に気がつく。
「…先生?」
「……」

▽くろうせんせい は こちらを みている !

 …ってふざけたくなるほど熱い視線にどうしたものかと首をひねる。
でもすぐにその視線が甘い物欲しいっていう事だって気がついた。久楼先生=甘い物だもんね。
ぱふぱふと白衣のポケットを叩いてみるも今日に限ってぺロキャンも、普通の飴もいつも誰からかは貰うチョコレートもなかった。
ああ、どうしよう。くるりと口の中で飴を回して、そこで一つだけ飴がある事に気がついた。
ただ……私が舐めてる飴だけれども。
「先生ごめんね、飴これしかないや」
 苦笑いして舐めて一回り小さくなったぺロキャン(みかん)を久楼先生の方へ向ける。冗談のつもりだった。
幾ら甘い物好きと言っても人の食べかけに手をつけるような事は無いだろうと踏んでの事だった。
でも私の予想は大きく空振りする事になる。久楼先生は躊躇いを一切見せずぺロキャン(みかん)を口に咥えた。
時間にして僅か数秒の出来事。何が起きたのか理解するのに倍の時間を要した。
「っえ、あ、せんせ、えっ…?」
「?なんでありますか?」
 さも普通の事だと言う様に咥えたぺロキャン(みかん)を味わっている久楼先生にもはや何も言えない。
ああ、先生はこういう人なんだ。と理解する他無かった。

後は飴を切らしてはいけないとも思った。

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