「次の授業教室でいいっけ」
「英語だから教室だろ」
 頬杖をついて教科書を捲っていた喜一を覗きこみ有坂が尋ねる。眠たそうな目のまま喜一は黒板の横の時間割を指さしながら言った。
その様子をぼんやりと見ていた夕哉ははっとして慌てた様にノートを取り出す。
「あわわ宿題やり忘れた…」
「まだ時間あるから写すか?ほらノート」
「ありがとううぅ!!」
「ぎゃあっ!?おもてぇ抱きつくな!」
 宿題の問題を解いたノートを有坂は夕哉へ差し出す。表情を一転させた夕哉は有坂に抱きついたためぎゃあぎゃあと有坂が暴れた。
暴れ過ぎて顔に付けた布の下が見えそうである。二人のやりとりを見つめながら喜一は寂しげに笑う。
「有ちゃんが夕哉位素直に俺に抱きついて来たら可愛いのにな…」
「誰がやるかガチホモ。つーか有ちゃんってなんだ」
 有坂の顔が見えていたら盛大に眉間に皺を寄せしかめっ面をしていただろう。
すでに夕哉は有坂から離れ宿題をいそいそと写している。
「なんだよ、まだこの前キスしようとした事怒ってるのかよー」
「もう言うな。やめろ…」
「ええっ!有坂クンと喜一クンってそういう仲だったの!?」
「おうとm「ちがうちがう止めてくれ!!!夕哉もそこに反応するな!!」
 驚いて声を上げた夕哉の手をとり嬉しそうに頷く喜一の頭に容赦ない有坂のツッコミが決まった。
傍から見たらただの痴話喧嘩である。
再び騒がしく言い合いを始めた彼らを生温かい目で見るクラスメイトの視線に気づかないまま、短い休憩時間は過ぎていった。


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