乱暴に壁に叩きつけられ肺から空気が一瞬で抜けていく。とても痛い。壁伝いに崩れ落ちて蹲り両手で口元を押さえてせき込む。
ぜーぜー言う呼吸音も心臓の音もうるさい。ふらつく視界の中に屈む騎士君の姿が映る。なんとなく現実味がない。
「っあ…ふあ…なに…?」
「っるっせーな。少し黙ってろ」
「っひ…!」
 折りたたみ縮こまっていた私の両脚を開き騎士君の体が割り込んでくる。
ざわりと背中に寒気が走って目を見開く。何をされるのか予想が容易についてしまった。
背中は壁、前は騎士君。逃げ場所がどこにもない。
「や…嘘…やめてよぉっ…ぅんっ」
 貧血の所為か目が回り不明瞭な視界。いきなり顎を掴まれてちゅーされた。
口の中にぬるりと舌が入り込んできて悲鳴にならない声を上げる。必死に騎士君から逃げようともがいて見るも体格差と力で負ける。
影ちゃんを出せたら、勝てるのに。影ちゃんが珍しく戸惑った様な感情の様な物を出している事に気がついたけど、それ所じゃなかった。
何度か息継ぎをはさんでちゅーをされ、その上白衣の下制服を捲くられて…いけない。このままだといけない。
影ちゃんを使おうと覚悟を決めた時薄暗かった教室内に電気が付けられ明るくなった。そして響く怒号。
「ってめえら何してんだごるあああああああぁぁぁぁぁああ」
「うわっ」
「ひゃっ」
「学校はラブホじゃねえんだぞ!!後騎士お前それ強姦だろうがあああぁ!!」
 凄い剣幕の猫先生が突入してきて、騎士君の頭にモップの柄を叩きつけた。頭蓋骨が割れそうな音と共に騎士君がぶっ倒れる。…死んでないよね?
「…猫先生…」
「とりあえず服直せ。…今日は薄ピンクか」
「ぎゃあっ」
 騎士君にめちゃくちゃにされたままだったので胸元もスカートも派手に肌蹴ていた。そしてそれをばっちり猫先生に見られる。
二重の意味で穴があったら入りたい。むしろ突っ込みたい。くそう。
「先生もうお嫁にいけません」
「大丈夫だまだ突っ込まれちゃいないんだろ?それか先生が消毒してy「やめてください」
 通常運転の先生はそのまま騎士君を担いで出ていった。また皇先生の所に持っていかれるのか、それともひじきえもん先生に叱って貰うのか。
どちらにせよ、もう私には関係ない。
「……はぁ」
 緊張と恐怖が解けた所為かどっと疲れが体を襲う。再度壁にもたれかかり力を抜いた。
もうしばらく休みたい。
何処か心配そうに影から出て来た影ちゃんをみて、私はつかれたと呟いて苦笑した。


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