どの位眠っていたのか。今何時間目なのか。
体育の時間に体調を崩しそのまま保健室で眠っていた私は、温かい布団の中微かな物音で目を覚ました。
誰だろう。先生かな?
「…?」
 眼鏡の無いぼやけた視界には白と黒の見知らぬ姿が映る。
私よりははるかに高い背。男の子だろう。私に背を向けてベッド際のカゴを漁っているように見えた。
「…だれ?」
「お前なんでこんなの着てんだ」
 質問に質問で返されてしまった。体を起こし、枕元の眼鏡を手繰り寄せて瞬きをしながら相手を見ればやっぱり知らない子で…見るからに、不良さんでした。
正直逃げ出したいけれど大切な白衣を彼が持っているため逃げられない。
「か…返して。大切なものなの」
「…へーぇ」
 無表情だった彼はにやりと笑う。嫌なフラグしか見えない。こういう人がはいそうですかと返してくれる確立なんて10%にも満たないだろう。
彼は笑ったままベッドを囲うカーテンから出て行く。手には白衣を持ったまま。
「やっ…ちょっとまって!!!ねぇ!!」
 慌てて上履きをはきカーテンを開ければ保健室には誰もいなかった。普段デスクワークしてる鏡藍先生すら。
半開きの入り口の奥から廊下を走る音が響く。
「もー何でこんな時に先生がいないの!!!」
 本気で泣きそうになりながらまだ立ちくらみの治らない体を引きずって彼を追いかけた。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -