廊下の端、間違えて蹴っ飛ばしそうな目の前に鎮座した段ボール箱(えひめみかん)に私は首をひねる事しか出来なかった。
「……」
 後ろを振り返る。授業中なため誰もいない。そりゃあそうだ。
もう一度前に視線を戻す。やっぱり段ボール箱(えひめみかん)がある。
「………」
 避けて行けばいいんだろうけれども、こんな面白そうなもの放っておくわけにもいかない。
私は段ボール箱(えひめみかん)を思いっきり上に持ちあげた。
「!!?わっ!?」
「ひゃあ!!」
 中で蹲っていた相手が驚き廊下へ尻もちをつく。予想はしていたけど、本当に人が入ってるとは思わなかった。
私も段ボール箱(えひめみかん)を持ったまま固まる。
「いてて…びっくりした…」
「あ…ご、ごめんね…大丈夫?」
「まさかばれるとはっ…た、退却!!」
 腰を摩りながら立ち上がり踵を返して逃げるその子は私より背が高く、何より特徴を上げるとしたら恰好だろう。
(すごく…武装してます…)
 よくよく見ればナイフやら手榴弾?やら色々身に着けていたようだ。結局、後輩なのか同い年なのか先輩なのかもわからなかった。
廊下の角を曲がり、見えなくなった奇抜な姿を見送ってから、自分の手に残った段ボール箱(えひめみかん)をどうしようかと悩んだ。



「先生、えひめみかん拾いました」
「お、みかんか。中身は?」
「逃げちゃいました」
「…は?」
「武装して逃げちゃいました」
「どんなみかんだ」

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