「せんせーノート持ってきましたー」
「ありがとうございます。お茶でも飲んでいきませんか?八興先生よりは劣りますが」
「あっここあったかい」
 カルラちゃんと一緒に皇先生の元へノートを届けに来た。昨日の化学の時間に宿題が出たんだ。少し難しかった。
ラボとも言える(らしい)化学室の中で先生は何やら調合中と思えば、それはお茶の様だった。
ティーパックの紐がビーカーの外に垂れていてほうじ茶のいい匂いがする。
……ビーカーの中にお茶って良いのだろうかとカルラちゃんと顔を見合せた。
「皇先生それ良いんですか」
「綺麗なビーカーですから平気ですよ」
 カルラちゃんが明らかに警戒しながら指をさすも、先生はにこやかに笑いながらお茶をカップに移す。
手渡されたほこほこのお茶。見た目は凄く美味しそう。
「いただきまーす」
「…い、いただきます」
「召し上がれ」
 飲んだお茶はどこまでも普通のほうじ茶だった。身構える程でもなかったかなとちょっぴり心の中で先生に謝って飲み干す。
先生とたわいない話を暫くして私達は化学室を後にした。
「…何もなかったね」
「…うん」
 どうやら考え過ぎたようだとカルラちゃんと笑い教室へ急ぐ。次の授業中、私とカルラちゃんが揃って居眠りしたのは偶然だと思いたい。

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