▼暗殺@
「えっと、殺せんせーの壁ドン…壁ブニョン?とても、新鮮です…」

「ああ、すみません。貼った掲示物が取れかかってたので。もうちょっとだけ辛抱してください」

女子の憧れ、壁ドン!とは言うけれど、まさか初めてがこんな雰囲気の欠片もない、しかも黄色の超生物だなんて思いもしなかった。何の動揺もしない黄色の顔は、にやりとしたまま壁の掲示物をうねうねと直していく。いやなんでじゃあ私をどかさなかったのと今更聞けないから黙って俯くしかなくて。まだかなと床の木目を眺めていたら、突然教室の扉が大きな音をたてて開かれた。
そこに立っていたのは、私がいつもいつも目で追っていた黒くてシュッとした佇まいの烏間先生。あ、と声を出そうとしたときには、その怒声がびりびりと教室に響いた。

「おい!生徒に何してるんだ貴様は!」

「にゅやッ!ち、違います誤解ですよ烏間先生!」

「誤解だと…?そんな状態でよく誤解だなんて言えるな。淫行で取っ捕まえるぞ」

「い、い、い、淫行?!!そんな殺生な」

「おっさん邪魔。ねえここにいるんでしょ…って、は?なにこれ?タコがなんの真似?」

なにも言えないまま交わされていた大人たちの舌戦に口をつぐんだまま俯いていると、聞き慣れた飄々とした声まで聞こえてきた。その声にまさかと顔を上げる。教室の扉の側で、烏間先生を押しのけてこっちを見つめる赤髪のカルマくんと目があった。その金色の瞳がスッと薄くなる。最後の言葉は低く苛立ちがみてとれた。

殺せんせーが慌てて距離を取る。でもこれは、やばい。そう思った次の瞬間には、烏間先生のナイフとカルマくんの銃が焦る殺せんせーに集中砲火されていて。咄嗟に頭を低くして流れ弾に備える。でもどうやら、それすらも逆効果に見えたらしい。

「…で、アイツのこと泣かせたわけ?最低、許さない。絶対殺す、俺が殺す!」

「生徒を泣かせるとは言語道断。覚悟してもらう!」

「にゅやーッ!!」

や、泣いてない。
恐る恐る顔を上げたら、表情を解かしながらゼエハアしてる殺せんせーと、肩で息をする烏間先生、そして私の頭を撫でながらも殺せんせーを本気で睨み殺すかのようなカルマくんのまさに地獄絵図が広がっていた。

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