07-5





学内コンクール参加者の基準は、リリから直接聞いていた。

ファータと相性のよい者。

ようするに「見えちゃった人」だ。
………蓮くんも見えちゃった人の一人というわけだ。
なんか想像つかない。

私もそのうちの一人。
参加者に名前を連ねていたということは、リリが見えちゃった時点で参加は決まっていたのだろう。

でもあくまで、それは楽器ができる人の話だ。
その証拠に、私と香穂ちゃん以外は音楽科の生徒ばかり、つまり楽器をメインに学んでいる人たちだ。

でも香穂ちゃんは違う。
香穂ちゃんが何か楽器をやっているとは聞いてないし、何しろ追加で参加が決まっている。
おそらく、突然参加させることにしたのだろう。

となると、思い当たる節は昨日のアレ。
渡り廊下でのリリとの遭遇だ。
香穂ちゃんの様子からして、あの時初めてファータを見たようだし。



「……私はともかく、なんで香穂ちゃんまで巻き込むの?いや、私の参加も、ものすごく腑に落ちないけど。でも、百歩譲って私は理解できるとしても、香穂ちゃんは…」
「…お前、相当不満なのだな。」



わかってるなら何故参加者にしたの、私を。

とりあえず、思ったことをぶつけてみる。
リリは腕を組み私と目線を合わせながら、私の言葉をじっと聞いていた。



「香穂ちゃん、楽器はやってないんでしょ…なら参加できないじゃない。ファータが見えたからってコンクールに巻き込むのは横暴じゃない?」
「………。」



さっきまで、顔をあげて私の話を聞いていたリリはゆっくりと俯いてしまった。
ちょっとキツく言い過ぎたかな。
少し反省しながら見つめていると、突然リリは笑い出した。



「ぐっふっふっ。」
「いやいや。気持ち悪いよ、その笑い方。」
「その心配の必要はないのだ!!」
「??」
「なぜなら日野香穂子こそアレの使い手として相応しいからだ!!」



………アレ?アレってなに??



「北斗神拳的な?」
「いや、何の話をしているのだ?」



あれ、違った?



「魔法のバイオリンなのだ!!」








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