「うぅ…っ、くっ…」 「五ェ門…」 押し殺して泣く声が耳にダイレクトに響いた。 肩を貸してくれ、と言われて戸惑った私に今にも泣き出しそうな顔で、頼むなんて言うものだから…貸さないわけにはいかなかった。 何があったかは聞かない。五ェ門が言わないなら、聞けない。 「五ェ門…元気を出して」 「…っ、う…」 「ね。でも、気が済むまで泣いてからでいいよ」 「すまぬ…すまぬ…っ」 「いいのいいの。気にしないで」 「うぅぅ……くぅ…っ」 回した腕で背中を擦ってあげると、私の腰に回った腕に力が籠る。 髪をすいてあげると、私の肩に埋めた顔を頬に擦り寄せた。 今は存分に泣けばいい。泣きたい時は泣けばいい。 つめたい涙があたたかい笑顔に変わる、その時まで。 ―――――――― 五ェ門って案外泣くことが多い気がするけど、泣く時は大体静かに泣くイメージ。それか泣き喚く。両極端。 でも誰にもすがらなさそうなので、すがらせてみたかった。 ← |