「これを」 「何これ、マフラー?」 「いや…いわゆる褌でござる」 「おやまあ」 2月14日、俗にいえばバレンタインデーであるが、読みようによってはふんどしともなる不思議の日。 そんな日に侍さんは丁寧に包装された贈り物をしてくれた。中身は褌。サイズはおそらくぴったり。時代錯誤の申し子は、私にまで江戸時代を強要してくるのだ。 「実はね、私も」 「これは…襟巻か?」 「うんにゃ、ふんどしだよ」 「なんと!」 私の方は私の方で贈り物を用意していたりした。中身はふんどし。きちんと素材も考えた。値は張ったが、絹製だ。これは付け心地が何より抜群で最高の肌触りでありせいぜい江戸時代の雰囲気を24時間演出してくれる。 五ェ門は目を輝かせて受けとってくれた。これでお互いに贈り物成立。五ェ門が知っているかは分からないが、2月14日にこうして褌を送り合うことが重要な意味を持つ。 「時に五ェ門さん、なぜ私にこれを?」 「お主に似合うかと思ったのだが…」 「感覚がちょっとずつずれてるね」 「そうでござろうか」 「うん、いいんだけどね」 「して、お主は何故拙者に?」 「実は!2月14日は祝日になったのです!知ってた?」 「知らぬ。そうなのか?」 「そうです!しかもふんどしの日としての祝日ね…そしてこの日は愛する人にふんどしを送りなさいという日でもあるんです。初耳?」 「いかにも初耳。と言うことはつまり…」 「嬉しいよ五ェ門!」 「そういうつもりではなかった…が、結果としては同じことであろうな」 「ありがとう!大切に穿くね!」 「拙者もここぞという時に使わせてもらおう」 「世界広しといえどもよ?どこに褌を送り合って喜ぶやつらがいるよ…」 「おめぇの目の前だよ、ルパン」 ――――――― 大分時期を逃していますが、エイプリルフールネタです。 2月14日が祝日になったと、4月1日に日本ふんどし協会が発表したそうです。 ただし愛する人にふんどしをプレゼントしなければならないという制約付きですが! ← |