「へっくし!」 風呂上がり、最近ちょっと冷え込んできたかな。そう言えば肌に当たる風はもう夏じゃない。 「大丈夫でござるか?」 「大丈夫でござるよ!」 「拙者の口真似をするでない」 肩から掛けたタオルで頭をガシガシと拭かれた。 おおっ、と唸ると五ェ門がパッと手を離して、後は自分でやれと。照れなくたっていいのに。 「へっくしゅん!…あー」 「お主もしや風邪……はぁ、鼻が出てるぞ」 「ずずっ、五ェ門ティッシュ取ってちょ」 「仕方がない…そら」 「ありがとうね。ちーん」 「やれやれ…少しはおなごらしくしたらどうだ…」 えへへ、と笑った私の頭に五ェ門が手を置いた。まだ濡れていたから、仕方ないついでにと五ェ門が拭いてくれた。 もうしないぞ、というけどきっとまたやってくれるぞ。五ェ門はそういう奴だと、私は知っている。 ← |