つん。後ろからつつかれた。 「五ェ門?」 「うむ」 「どうしたの?」 「いや…何でもござらん」 そうなの?と返してまた本に目を向ける。 つんつん。また後ろからつつかれた。今度は二回。 「何か用?」 「いや…特には」 「本当に?」 「うむ」 本当かなあ、と思いながら再び本に顔を戻す。 つぃー。今度は後ろからなぞられた。ちょっとくすぐったい。 「やっぱり何かあるんじゃない?」 「ない、で、ござる」 「いーや、ある。ありますね、五ェ門さん」 「断じて、ない」 「はっきり言ってご覧なさい。笑ったりしないよ」 「ぬ…ぅ」 「ほら」 急にもじもじし始めた五ェ門は袖に両手を突っ込んで身体を縮めて床の方を見つめて、 「…本ではなく拙者に…もっと構って欲しいでござる」 それはちょっと反則だ。 ← |