「腹ぺこでござる…」 「待っててね、すぐ作っちゃうから」 「何か少しでも摘まむものはないのか、とても我慢出来ん」 「そんなに空いてるの。ほら、じゃあこれ、唐揚げあげる。熱いから気を付けて」 「おお、有難い!」 「わ、手に取って食べてよ」 「んむ…ん、美味い!」 菜箸で摘まんだアツアツの唐揚げに、五ェ門がぱくりと食らい付いた。咀嚼して呑みこむとちょっとだけ頬を上気させて嬉しそうな顔をする。 摘まみ食い、しかも菜箸から直接食べるような真似は普段なら行儀が悪いと言いそうなものだけど、それもないところを見るとよっぽど腹ペコだったのだろう。 そんな様子に微笑みを浮かべて、再び台所に向き直る。お皿に盛りつければ完成だ。後はサラダでもあるといいかな。 「まだ食べ足らん」 「もうちょっとだから」 「頼む、もう一つ…」 「行儀悪い、っていつもなら五ェ門が言うクセに」 「どうも我慢が利かんのだ…いつもなら大丈夫なんだがな」 情けない声に最後のダメ押しで腹の虫が鳴いた。それに負けて、じゃああと一つだけね、と唐揚げを差し出す。またも嬉しそうに目を輝かせる五ェ門を見て、なんだかんだ五ェ門には甘くなっちゃうなとしみじみ思う。 「上手く揚げるものだ」 「ありがと。ほら、座って待ってて。すぐ運ぶから」 「いや、某が運ぼう」 「そう?じゃ、すぐ盛りつけちゃう…」 「スキあり!」 「あっ、こら!また摘まんで!」 「んぐ、これは手が止まらんな」 もぐもぐと唐揚げを頬張る五ェ門の背中をバシッと叩いてテーブルの方へ押しやる。油断した!食欲旺盛な五ェ門の前では油断は禁物だ。 ―――――――― 原作ゴエでもよかったな ← |