鉄平、人魚に瞳釘付けの巻 | ナノ




再生屋。食材の保護だったり、絶滅危惧種の繁殖だったり、まあ世界中の食を守る職業だ。
これオレの職業なんだけどさ、実際大変なんだわ。何が大変って、守る側からどんどん狩られたり採られたりすることだよ。
世はグルメ時代って言うけどさぁ…いや、それは良いんだけどさ……何かまた愚痴りそうだから止めとく。うん、何が言いたいかって言うと、

オレ、ラッキーだわってこと。





話は遡って一週間前、あれ?二週間前だっけ…。まあ、今日じゃないってことで。
オレは依頼を受けて海の方に来てたんだけど……うん、川を下ってね。そしたらさ、そこで見付けたんだよ。



「ニコニコマナティ?」



最初はそう思った。浜辺に打ち上げられてたモノを見て。
でも近寄ってみると違うと分かった。そいつ、何だったと思う?



「…人魚?」



そう、人魚だった。
よく考えたら、ニコニコマナティな訳なかったんだよな。だってそこピースフルアイラントじゃなかったから。
しかもそいつ、まあまあレアな“淡水人魚”だった。まあまあレアなのは数が少ないからじゃなくて、警戒心が強くて姿を現さないからなんだけど…。



「(でも何でこんなところに?)」



おや、と思った。
“淡水人魚”はその名の通り淡水に棲む人魚だ。しかもきれいな水じゃないとならない。
けど、そいつがいたのは海の浜辺、しかもそこの海は塩分濃度が半端じゃなく濃い。とてもじゃないけど“淡水人魚”が生きていけるような環境じゃない。

依頼は済んでいなかったが、目の前の生物の保護が優先かな、と思ってそいつに近付いた。
ぐったりと横たわるそいつ。



「おーい、大丈夫?って大丈夫な訳ないよな…」



声を掛けながら、ケガがないかどうか確かめる。外傷はなかった。なら何でだ?
とりあえず淡水に浸けてやらなきゃと思って抱き起こした。
お、よく見たら可愛い顔してら。なんて思って、肩に担いだ。驚いちゃうくらい軽かった。
したら、そいつがもぞもぞと動いて、次の瞬間暴れ始めた。オレ、そんなにバタバタ歩いてたつもりなかったんだけど…。
仕方ないから急いで川まで戻って、そっと下ろしてやったのさ。紳士的にな。





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