Pez de abril | ナノ








「羨ましいよ、すごく」



あなたの隣は、いつも埋まってる。私の入る隙なんて、毛の先ほどもない。出会ったときからそうだった。逆立ちしたって、私があなたの隣に立つことは出来ない。
出来ないと、分かれば分かるほどこの想いは強さを増していく。



「どうして私が先に出会えなかったんだろう」

「そればかりは仕様がなかろう」

「……うん」

「お主、言っておくが…」

「分かってる。その場所を譲ってなんて、そんなこと言わないよ」



考えるのはいつもあなたのこと。どこでどうやって生まれて、どのように過ごしてきて、これからどうなるのか。頭の中を埋め尽くすこの想いは、ずっと届くことはないんだろう。
あなたが傷付くと私も苦しい。でも、そんな想いもあなたに知られることはない。



「それでも、出会えただけ良かったのかも」



本当は私、どこかで諦めていないんだ。言えば否定されるのは目に見えてるから、心に秘めたままだけど。
そう、いつか。いつかあなたの刃で果てることができたなら、私はそれで本望。
ああ、今日もあなたは白鞘に包まれて、美しい。






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