「羨ましいよ、すごく」
あなたの隣は、いつも埋まってる。私の入る隙なんて、毛の先ほどもない。出会ったときからそうだった。逆立ちしたって、私があなたの隣に立つことは出来ない。
出来ないと、分かれば分かるほどこの想いは強さを増していく。
「どうして私が先に出会えなかったんだろう」
「そればかりは仕様がなかろう」
「……うん」
「お主、言っておくが…」
「分かってる。その場所を譲ってなんて、そんなこと言わないよ」
考えるのはいつもあなたのこと。どこでどうやって生まれて、どのように過ごしてきて、これからどうなるのか。頭の中を埋め尽くすこの想いは、ずっと届くことはないんだろう。
あなたが傷付くと私も苦しい。でも、そんな想いもあなたに知られることはない。
「それでも、出会えただけ良かったのかも」
本当は私、どこかで諦めていないんだ。言えば否定されるのは目に見えてるから、心に秘めたままだけど。
そう、いつか。いつかあなたの刃で果てることができたなら、私はそれで本望。
ああ、今日もあなたは白鞘に包まれて、美しい。