「トリコ、お願い会わせてよ!」
「ダメだ、あぶねぇから」
「遠くから眺めるだけでもいいの、ねえお願いだよ…」
「あいつのことは諦めてくれ、オレだって出来れば会わせてやりてぇが…だが同じくらいお前を危険な目に遭わせたくない」
「いつも、いつもそう言って…私はずっと…トリコのバカ!小松君にはいつも会わせるくせに!」
「あっ、オイッ!……ったく、分かってくれよ…お前と小松じゃワケがちげぇんだって…」
初めての出会いからもう長いことになる。私はその初めての出会い以来、彼にはずっと会えていない。
一目惚れという奴だった。こんなにも激しく目を奪われ、心を奪われたものはない。恋焦がれる間の気持ちは確かにもどかしく楽しいものかもしれない。けれどその想いが積もる度に、会えない苦しみもまた重なっていくのだ。
トリコの呼び掛けも無視して、無茶苦茶に走る。トリコには分からないよ、私の気持ちなんて!一生何か食ってろ!
「待てって」
「っ、トリコ」
結構頑張って走ったつもりだったのに、普通に追い付かれてしまった。
今更追いかけてきて、トリコは何様のつもりなの!
「何か用なの?今更…」
「ふう、お前の熱意には負けたぜ」
「え…そ、それじゃ…」
「ああ、ちょっとだけだからな」
ああ、ウソ!嬉しい!
何て融通が利かないんだろうなんて思ってた。けど、トリコはちゃんと分かってる男だったんだ。
「うん!ありがとうトリコ!」
「いくぜ…3…4…5連!!」
釘パンチッ!!!
あなたにまた一目会えるなんて、私、すごく幸せです。