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くっそ隊長とくっそティーチ追う旅をしてから結構の月日が経った。相変わらず馬鹿な隊長は自分の目的を忘れてんじゃねえかって思う。アラバスタという国でそれがはっきりと分かる当たり、本当計画性ないですよねーボソリ。「…お前聞こえてるからな」とか声に出した覚えはないのに。

「隊長ー。なんのアテもないのにティーチ捜すとかやっぱ無謀すぎません?てゆうか、隊長に至っては弟捜してるだけですよね。…ほんっと嫌になっちゃうよなぁボソリ」
「前から思ってたけど独り言いうならなるべく俺に聞こえねえようにしてくんね?」
「あれ?」
「そのあたかも俺がわりいみたいな言い方やめろや」

なんなのこいつ!と雄叫び挙げられてもっ。むしろこっちが何なのこいつなんですけどー。言いたかった言葉は胸の奥にしまいこむ自分はちょう優しい。ドヤ顔やめろ!と履いてた靴をいちいち脱いで自分を叩くとかよっぽど暇なんだな。

「…てぇっ、なんなんですかー?暴力反対だし」
「海賊に暴力も糞もねえだろ」
「そう言うのって屁理屈って言うんですよ。知ってましたー?」
「お前本当に一言一言気に障るやつだな」
「それが取柄なんでっ」

グッ、と親指を突き出し得意気ポーズにまたもや隊長が顔をしかめた。どうやら本当に気に障ってるみたいで滑稽だ。「…とりあえず、これからどうするんですかー?結局アバラスタに居座る気でいるんですかー?」滞在費自分たちそんなにありましたっけー?試しに自分のサイフを隊長に見せつければ、見る見るうちに隊長の顔面が蒼白していったのが分かる。あれ?首を傾げて「どうしたんですかー?」と。白々しいとか、まあそんな感じだ我ながら。

「…お前さ、なんでこんなに残金少なくなってんの?」
「ああ。そのことなら、ほら」

見てくださいよ、と言わんばかりに自分のポケットの中をあさり、物を目の前の隊長に見せつけてやった。おお。感動のあまり声が出なくなっちゃったのかもしれない。プルプル、と震えだし、すごい剣幕で怖い顔してくれちゃってる。…ん?怖い顔?

「…なんだよ、それは、」
「なにって、武器に使う材料」
「いつの間に買ったんだよ!お前、なんのためにいんだよ!」
「いろんな島渡ると掘り出し物とか沢山あるんですよねー。こんな機会逃すと中々手に入らない物ばかりだし」
「お前ほんっとうに何で着いて来たの?」

可笑しいだろおおお!とすごい剣幕だ。どこが可笑しいんだよ可笑しいことなんてねえだろボソリ。これも聞こえてたらしく拳骨が自分の頭に落ちた。お金がないのって自分だけのせいじゃねえし火拳野郎の食費の方が問題だし。正直自分のこと棚に上げて、てのは目の前の火拳馬鹿に1番相応しい。

「…てゆうか何で自分ばっか怒られるんだよ。くっそ火拳うっぜぇなボソリ」
「ほほう。そうか。歯を食いしばれ」
「ヤダナー冗談じゃないですかー。ほんっと、脳みそ単細胞ボソリ」
「だから一言多いんだってお前」

そういう隊長は一言も二言も足りないですよねー。全然意味わかんねえし。そういえば手が出る当たり、図星認めてるようなもんだし。顔面に靴投げ飛ばすの良い加減にやめてほしいくらいなんですけど。「だから弟くん待つの辞めましょうよ。野宿とか嫌だし」このまま行くと確実野宿決定だ。馬鹿な火拳野郎でもそんなことくらい分かってるはずだと思ってた。自分が促した言葉にくっそ火拳野郎は怪訝な顔をする。

「隊長って我儘ですよね。良い加減巻き込むの辞めてもらえませんかー?」
「お前が勝手に着いてきたんだろ。なにそれっ。上司の言うことくらい聞けよ」
「言っておきますけど、自分は親父の言うことしか聞かないって決めてるんでそれは嫌です」
「本当にカスだなお前」
「ワオ。照れる」
「褒めてねえし!」

と言いながら食べカス飛ばすのやめろよくっそ火拳野郎。自分の顔に食べカス飛ばすとか品がない。余りにも汚い。飛ばされた食べカスを吹き吹きと布で拭う。「あれ?隊長ー?」そこで気づいたのは、あれほど煩かった火拳馬鹿が静かになったこと。可笑しいなあ、と思い一瞥して驚いた。

「…て、寝てるし。まじ使えねえなくっそ火拳野郎」

意味がわからない。何故このタイミングで寝るのだろう。自分と話してたし食事中だし。眉を寄せる。嫌がらせに唐辛子でも突っ込んで置こうかなー。そう考えた時に突発的に何かって起こるものだ。「…なんでテメエらがここにいる」聞こえた図太い声に思わず息を潜めた。

「…白ひげんとこの火拳のエースとその一味」
「…自分、無関係だし」
「あぁ?…て、いつまで寝てんだこいつは!」

そう言ってモクモクの海兵がくっそ隊長に手をかけようとしたその時。なんか飛んできた。ドムッッ!と物凄い音を立てて、直線上のくっそ隊長とモクモクがはるか壁の向こうに吹き飛ばされる。ワオ。思わず何処まで突き飛ばされたのか目で追ってしまったじゃないか。「…あーあ。後でぶっ殺されても知らねえし」まったく余計な面倒を。そう思った時、目に映ったものは衝撃的だった!

「メッシだぁああああ〜!!」
「あ」

何かどっかで見たことあるような気がする。気のせいだとイイかもしれない。嫌な予感しかしねえしボソリ
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嘘つき、走る

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