彼の癒しは彼女

「聞いて下さい、エナ〜」

『どうしたのジャーファル』

時計の針が深夜を回った頃、ジャーファルは疲れ切ったような足取りで恋人の待つベッドに潜り込んだ。
先に入ってベッドあっためといたよー。だの、私の前では敬語は使だちゃダメだよ、気抜いて。だの優しい言葉をかけてくれる、そんな穏やかな恋人。

「はぁ、私の癒し」

『嬉しいこと言ってくれるねえ』

「とりあえず抱きしめさせてくださいよ、ギュッと」

『もちろん!いいよ』

「じゃあこっち。横向いて」

『はぁい』




『で、今日はどうしたの?』

「仕事が終わらないのにシンが邪魔してくるし、それに今日は昼寝してしまって…失態です」

『普段滅多にないのにね』

「そうなんですよ。あ、シンの邪魔が入るのはしょっちゅうですよ?
こうして貴女とゆっくりしてる時に邪魔されないのが唯一の救いです」

『そっか、だからなのね。いつもは寝る前に顔を見合わせてお喋りして眠るのに、今日はギューしてくれる』

「そう、今はエナとゆっくりできる至高の時間ですからね。嫌ですか?」

『ううん、どっちも好きだよ』

「なら良かった」


『おぬしの肩に顔を埋めるのも苦しゅうない』

「ふふ、じゃあこれからもそうしましょう」

『いや、交互にしましょう。今日はがっちりホールド、明日は』

「顔をあわせる?」

『そう、FACE TO FACEでいこう』

「はい」



「あ、今日の昼食後に入れてきてくれた紅茶、とても美味しかったですよ」

『良かった!あれは特別に睡眠薬配合!ヤムライハに勧められたんだ!』

「え!?そうなんですか!」

『そうだよー』

「じゃあ、昼寝の原因は、それ……」

『うん。ジャーファルにたまには休んで欲しくて』

「あっ、…」

『許してほしい、ごめんね』

「っ、許しますよ!もう!貴女は可愛い!勝てません!」

『へへ、ありがとうジャーファル』

「仕方ない子ですね、本当に」

『仕方ない子ですよう』

「そんな仕方がない子に覚えて欲しいことが1つ。私が休めるのはエナの傍。薬になんて頼りませんからね」


28.3.23
ゆったりまったりジャーファルさん
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