開戦
エナ「シンバ、ここはきゅっと巻いて、そこはね、クルッと簡単に」
シンドバッド「擬音語ばかりでなんか分かりづらいな」
エナ「そうそう、合ってるよ、あ!ジャーファル!」
ジャーファル「シン。その呪い、貴方なら躱せたはず」
シンドバッド「俺も染まってた方が、彼らもやる気になる」
ジャーファル「シン!」
シンドバッド「それにアル・サーメンが彼らを狙っているならば逆に迷宮の中にいた方が安全だとも言える」
アラジンとアリババ、モルジアナ、白龍は迷宮ザガンへと向かっていた。
エナはピスティが朝自慢げに話していたことを思い出し、はっと気を引き締めた。
アル・サーメンは本来現れるはずがない4人目のマギ、アラジンの能力を狙っているのだ。
その組織の1人であるイスナーンがアリババの呪いを使い、結界無しで王宮内に現れた時、シンドバッドは呪いにかけられたのである。
エナは今、その包帯の巻き方を教えているところだった。
*
異変は、密偵部隊であるエナとアルコ、スパダが屋外で鍛錬している最中に起こった。
アルコ「みてくださいよ、エナさん!結界が破れてます」
スパダ「広場に急ぐぞ!」
エナ「…ジュダル!」
彼らは走った。
アルコ「ジュダルが見えてきましたよ!」
スパダ「隊長!指示出せ!」
エナ「Wの陣形を取ろう!」
スパダ「俺らそんな人数いねえけど!」
アルコ「了解です」
スパダ「あっ!おいエナ!突っ込んでくな!」
アルコ「何言ってるんです、それが作戦でしょ?」
スパダ「あ、あれか」
アルコ「分かりました?なら行きますよ」
エナ「眷属器!双隠剣(バララーク・ダガーサイカ)!」
ジュダル「おお、エナ!元気にしてたか?」
エナ「くっ!」
エナの電気を纏った短剣での二刀流は、剣を振った10m先まで斬撃を飛ばすことができる。
しかし、ジュダルの防壁には効かない。
アルコとスパダは後方から飛び道具を投げるが、それも跳ね返されてしまう。
エナ「ジュダル!何しに来た!」
ジュダル「お前に言う理はない、どけ」
エナ「うぐっっ!」
アルコ「エナさん!」
スパダ「エナ!」
エナは勢いよく壁の方へ突っ込んでいった。
それを見ていたジャーファルは怒り、彼も眷属器を発動させる。
ジャーファル「貴様っ!眷属器、双蛇金票!(バララーク・セイ)」
ジュダル「雑魚はどきな、俺はシンドバッドに用があるんだ」
ジャーファル「何だと!?」
シンドバッド「やめろ!何をしに来た、ジュダル」
アルコ「エナさん!?大丈夫ですか!」
スパダ「おい、しっかりしろ!」
エナ「…平気」
アルコ「動かないで!短剣が横っ腹貫かれてます!」
スパダ「これ、エナの片方の剣だ!」
エナ「いいから、ジュダルに警戒しなさい」
気づけば八人将が揃っていた。
ジュダルは煌帝国がシンドリアを滅ぼしに来ることを笑いながら話す。
エナ(姫様がシンドリアに滞在していたのも、バルバッドでの失策で煌帝国での立場を失ったからだったのね)
ジュダルの目的は結界を破壊する事だけ、そうして彼は去っていった。
シンドバッド「八人将は白羊塔に集合、密偵部隊も呼べ」
*
アルコ「エナさん、大丈夫ですか?」
エナ「大丈夫、止血は済んだし」
スパダ「何かあったらすぐに言えよ」
エナ「ありがとね」
シンドバッド「では、結界の穴をすぐに塞ぐのは無理なんだな?」
ヤムライハ「はい、以前と同じ強度にするにはこうしょうとうの魔導師を総動員しても10日はかかるかと」
シンドバッド「そうか、よし、結界は諦めよう」
ジャーファル「ですがシン、それでは」
シンドバッド「代わりに、ヤムライハと魔導師達を戦力として繰り入れる。真っ向勝負だ。
例え王になろうとも、俺はやっぱり迷宮攻略者なのさ。守るよりも、道を切り開いて前に進みたい。
ついて来てくれるか」
ジャーファル「今更、我ら八人将に何をお尋ねになりますか?王よ」
シンドバッド「悪いが俺はこの有様だ、お前らにはいつも以上に働いてもらうことになる。皆、頼むぞ」
八人将「はっ!」
アルコ「素敵ですね」
エナ「うん、八人将の陣形」
スパダ「そっち?忠誠心じゃなくて?」
シンドバッド「密偵部隊」
3人「はい!」
シンドバッド「お前らには(*)露払いを任せる」
(*)先駆けること
3人「はっ!」
28.4.1
なぜエナ達を露払いにしたかよく分かってないジャーファルさん