眼鏡男子は正義だ




そう友達の前で熱弁したところ「え、」と固まられた。それに驚いて「え、」と返せば眉間にぐいっとシワをつくった友達が一言。





「あんたこのまえ手フェチだって言ってなかった?」





あぁ確かに言いましたともえぇ、えぇ。ついでに言うと声フェチでもあるよだけど何フェチかなんて一つに絞れないよみんなだってそうでしょう?





「でも手に声、眼鏡って……」




なんか変態っぽい、よね。




…… な ん と 、 ?





そのあとうんざりとでも言うような顔をする友人に手、声のよさと眼鏡のなんたるかをじっくりと教えてあげた。クラスメイトの痛い視線が向いている気がするが気のせいだろう。それより今はこっちの話が大切だ。





「柳生くんも素敵だよねーあの眼鏡の奥にどんな瞳が隠れてるのかなぁとか想像したらもうたまんない!あとは隣のクラスの山田くんね、あのセルフレームの。背も高いし声も綺麗だし、でも手はなんか違うんだよねぇシュッとしすぎっていうの?もうちょっと骨張った手が好きなのあたし。いや、それでも十分かっこいいけどね?眼鏡だし。あぁあと二年の田中くん、あの子は」





もういい頼む止めてくれ黙ってと友人が半泣きで頼むもんだから黙るしかなかった。ちくしょう不完全燃焼。もっと紹介したい素敵眼鏡男子がいるのになぁ、残念。




「もうあたし眼鏡で声と手がよければ誰でもいい!」

「黙ろうか名前ちゃん」










と、こんなことがあったのが昨日の昼休みである。




「え、え……っ」




誰だあのイケメンは、ってまああの綺麗な赤をした髪の色とかからして同じクラスでテニス部レギュラーの丸井ブン太くんなんだけども。もとからイケメンだしいい声してんなーとか思ってたけども。え、え?ほんとに丸井くんだよね




「ま、丸井くん……?」




どうしたの、それ。

可愛い顔に装備された黒縁のそれを指差して普段あまりはなしたことない丸井くんに勇気を出して話しかけるとニコリと笑って答えてくれた(あぁぁぁぁ)




「あぁ、眼鏡? だてだよ、だて。俺天才的に目ぇいいし」

「そ、そうなんだ」

「おー。でもよ、似合ってるだろぃ?」




もちろんんんんん!!!
イケメンと言ってもあたしの中では可愛い部類に入っていた丸井くんが今日で完全にかっこいい部類に移動した。ずれた眼鏡を押し上げるその姿なんてあぁぁもーどうしようもなく、




「かっこいい、デス!」




思わず声を上げるとクラス中の女子の視線を感じた。いいじゃんみんなだって普段から「かっこいい!」「付き合って!」「丸井くんらぶらぶらぶ!」って言ってるじゃん!


丸井くんはといえば一瞬きょとんとしてから




「だろぃ? こんなに眼鏡が似合う男他にいねぇって!」




と笑った。

確かに。今あたしの中でかっこいい男の子トップは丸井くんだ。




きゅ、と手に温もりを感じて眼鏡から視線を落とすと丸井くんの手があたしの手を包んでいた。





「えっ!? ままま丸井くん、」




そりゃあドキドキしますよだってこんなにかっこいい丸井くんだよしかも眼鏡装備だし、うわ、可愛い顔して手は骨張ってて男らしいんだ、テニス頑張ってる証の豆も好みって何考えてんのあたしこれじゃホントに変態じゃんわぁぁぁパニックパニック!!




「なぁ、」

「なななななんでしょうか」

「お前、眼鏡が似合っていい声と手なら誰でもいいんだろ?」

「え、あ、そんなこと言ったような」

「じゃあさ、」




俺にしとけよ。

耳元で囁かれれば思考停止。気づけば首を縦に振っていた。あ、あんれぇー?





眼鏡男子




(ちくそー騙された)
(あ?)
(ブン太あれ以来眼鏡かけてくれないじゃん!)
(だって邪魔だし)
(あたし眼鏡のブン太に惚れたのに!)
(眼鏡なしでもドキドキすんだろぃ?)
(……自意識過剰)
(んな顔真っ赤にされても説得力ないっつの)



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