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 それは紛れもない

”変”と”恋”って似てるじゃない?



「ねぇ、フェイってば聞いてる〜?」

「今ワタシ、忙しいね」

―バキッ 「ぐぎゃ」

「拷問なんていつでも出来るじゃない〜」

「…話だていつでも出来るよ。それにこいつ放ておいたらそろそろ死にそうだたからね」


そう言いながらフェイタンはさらに男の身体を切り刻む。その様子を近くの椅子に座りながらぷく〜と、まるで子供のように頬をふくらませたゆめが拗ねたように唇を尖らせた。


「む…拷問しながらでもいいから、聞いてよ」

「……なんね?」

「フェイタンだーいすき」

「………」


にっこりと満面の笑みを浮かべるゆめをみて、呆れたようにフェイタンは小さく笑った。


「普通、こんな場面で言うか?」

「えーだってフェイタンの事好きだから、いつでも言いたいんだよ?」

「ハッ、ほんと変な女ね」

「あれ?もしかしてフェイタン照れてるー?」

「呆れてるだけよ」


―メキッ 「…、…!」

「あ、死んじゃった」

「…フン、根性ないやつね」


フェイタンは声なく絶命してしまった男をつまらなさそうに睨むと、静かに拷問器具を片付け初めた。


「フェイ」


いつもよりも少しだけ甘えたような声色でゆめがフェイタンの名を呼ぶ。フェイタンが振り返ってみると相変わらず椅子に座ったままニコニコと楽しそうに、嬉しそうに笑っていた。


「…なんね」

「次はわたしの番だよ!ちゃんと我慢してたんだから、構って?」

「…ほんと、ゆめは変な女ね」


いつもは誰にもみせないような優しい笑みを浮かべると、拷問器具を無造作に置いてゆめに近づき優しくそのおでこにキスを落とす。


「ワタシに構われたいからて、そんな血塗れになるとか…変人よ」

「だって、フェイ血の匂いに興奮するって言ってたもん」


そう言いながら笑うゆめの全身は返り血で真っ赤になっていた。綺麗な服も、綺麗な肌も、綺麗な髪も、全てが赤に染まっている。

それを愛おしそうにみつめながらゆめの頬をフェイタンが撫でる。ようやく構ってもらえて嬉しいのかその手に擦り寄るように目を閉じた。

そのまま優しくフェイタンがキスをする。


「…んっ、ふふ」

「……血の味ね」

「…興奮する?」

「ゆめはほんと変態よ」

「えーヒソカには負けるもの」

「…ワタシの前で他の男の名前出すの、いい度胸ね」

「ひゃっ」


ゆめの口から零れた名前に少しだけ不機嫌そうにジロリと睨むと、その身体を軽々と抱き上げてしまう。


「ワタシを煽ったこと、後悔させてあげるよ」

「…怒ったフェイも、好き」

「ハッ、ほんとゆめは飽きないね」

「じゃあ拷問も程々にしてもっと構ってよ〜」

「…考えとくよ」


その答えにゆめは少しだけ不服そうだったが、フェイタンが優しくキスを落とすと嬉しそうに微笑んだ。



「変になるぐらい恋してる」

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