倉庫 | ナノ

 8歳が行く!5



「気を抜けば下克上」


「久しぶりだな」
「あ、団長」
「おお、団長お帰りー」
「シャルに、フィンクスか」
「この間の美術品はあっちに置いてあるよ」
「ああ、ご苦労だったな」

クロロが久しぶりに
アジトへと帰ってきた。

いつも仕事がないときは
どこかへ姿をくらませているため
メンバーもクロロが仕事がない間
どこにいっているかは知らない。

キョロキョロと辺りを見回す。

「…あれ、あいつは?」
「ん?ああ、あっち」

フィンクスがソファーがある
部屋の方を指差す。

「あ、団長」
「おかえり」
「あら、久しぶり団長」
「マチ、シズク、パクノダ…お、いたいた」
「あ、クロロだ」
「…なんでお前は俺だけいつも呼び捨てなんだ?」

マチさん、シズクさん、パクノダさんと
お菓子を食べながらまったりと
お話をしていたらクロロが入ってきた。

そういえば帰ってくるって
誰かが言ってた気がします。

「クロロおかえり」
「…敬語はどうした」
「いいじゃん」
「まあ、いいけどな」
「わあっ!」

ひょい、といきなり抱き上げられる。
だから…高いの…怖い…!

体が宙へ浮かぶ浮遊感とか、
地面が遠いのとか、体が安定しないのとか
この間のことがトラウマになっている。

「団長…嫌がってるから降ろしやりな」
「うええ…やだよー」
「あー団長が泣かせたー」
「…なんでこんなに怖がってるんだこいつは?」
「この間いろいろあったのよ」
「マ、マチ…さん」

クロロからマチさんが
引き離してくれた。
ソファーに降ろされて
ほっ…、と息をはく。一安心です。

じと、っとクロロをにらむ。

「バカクロロ」
「知らなかったんだよ悪かった」
「………」
「団長嫌われちゃったねー」

よしよし、とシズクさんが頭を撫でる。

わたしはクロロの方をわざと
みないようにしながらつーん、と
むくれたように無視する。

「あ、そろそろごはんの支度しようか」
「!マチさんわたしも作る!」
「はいはい」
「あ、おい…」
「べー」

あっかんべー、とクロロにする。
そのままマチさんと一緒に台所へと向かう。
今日のごはんは何がいいですかねー?

「これが反抗期か…」
「それは違うと思います」
「さっきのは団長が悪い」
「そうですね。団長が悪いですよ。」
「………」



「ごはんできましたよー」
「おっ飯だ飯だぁ!」
「うるせぇぞウボォー」
「今日も一緒に作ったの?」
「はい!シャルナークさんが魚食べたいって言ってたので、焼き魚ありますよー」
「お!嬉しいなーありがと!」

がやがやとみんなが食べ始める。
久しぶりにクロロもそろって
メンバー大集合ですね!

クロロの隣にわたしも座る。

「どう?どう?」
「へえ…うまいな」
「でしょー!」
「ああ。驚いたよ。」
「えへへ。さいきんよく作るんだー」
「そうか。がんばったな」

クロロが頭を撫でようと
手を伸ばしてきたのでさっ!と
慌ててよける。

さっきの、まだ許してませんから!

「…悪かったって」
「なんだ?団長なんかしたのか?」
「さっきかたぐるまされました」
「あー」
「…それは団長が悪いよ」
「最低ね」
「怖かったでしょ?大丈夫?」
「おい、団長かわいそうだろ」
「…そんなにダメな事だったのかあれは」

みんなが一斉にクロロを攻める。
いいかんじです!
わたし、ひどい目にあったんだから!

元凶はウボォーさんですけど。
まあ、それはこのさい置いておいて。

そんな感じで楽しくご飯食べて、
シズクさんとパクノダさんに
手伝ってもらいながら
片付けを終わらせた。

「……あれ?クロロは?」
「たぶん部屋よ」
「ふーん」
「じゃあおやすみ」
「はい!おやすみなさいです」

自分の部屋に戻ろうかと思ったけど
なんとなく、なんとなーく
クロロの部屋へとやってきた。

―コンコン 「……クロロー」

「入っていいぞ」
「おじゃまします」
「どうした?」
「………別に」

部屋の中へと入ると
クロロはソファーで本を読んでいた。
とことこ、と近よる。

「まだ怒ってるのか」
「ちがうよ」
「じゃあ…なんだ?」
「別に…ちょっと、本が読みたいだけ」
「そうか。好きなだけ読んでいけばいい」
「うん。」

クロロがソファーのスペースを
わたしが座れるように開けてくれる。

適当に気になる本を持って
そこにぼふり、と座った。

「………」
「………」

本のページををめくる音だけが
静かに部屋に響く。お互いに無言だ。

「…ねえ」
「ん?」
「…いつまでいるの?」
「そうだな…2週間ほど、かな」
「…そ」
「なんだ、寂しいのか?」
「ちがう。ばか。」

ふっ、と微笑まれる。なんとなく悔しい。
別に図星とか、そんなんじゃないけど。

クロロには感謝してる。
わたしはクロロのおかげでここで
こうやって自由に生きていられるから。

「……ありが、と」
「なにか言ったか?」
「…なんでもない」
「そうか」

優しく頭を撫でられた。

いつもはむかむかと苛つくのに
いまは不思議と心が温まるようだった。

「(クロロ、ありがと)」




(子ども扱いされたくないのは)(貴方にちょっとでも近づきたいから)



[back]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -