倉庫 | ナノ

 8歳が行く!4



「褒めて伸ばそう小さい子」


「みなさんごはんですよー」
「あー腹減った…」
「今日の晩ごはんなに?」
「酒はねーのかぁ?」
「ほらアンタたちも運ぶの手伝いな。」

みんな大好きごはんの時間です!

最近は外食ばかりだったので
ひさしぶりにアジトでのごはんです。

ぞろぞろとメンバーが集まってきて
テーブルへと座るので、
お皿やグラスをテーブルへと運ぶ。

「…で、今日は誰が作ったんだ?」
「おい、シャル…お前まず味見しろ…」
「えー?!やだよ!オレまだ死にたくないし!」
「解毒ならシズクに頼めばいいよ」
「じゃあフェイタン食べてよ!」
「ワ、ワタシそんなにお腹すいてないね!」

ぎゃあぎゃあと男たちがさわぐ。
…なにをさわいでいるんでしょうか…
まったくお行儀が悪いです。

「……アンタらねぇ…怒るよ?」
「…だってよぉ」
「今日作ったのはあの子よ」

マチさんとパクノダさんに言われて
少しは大人しくなる。
みんなの視線が一気にこっちにくる。

自慢げに腰に手を当ててみせた。

「えっへん!」
「え、お前が作ったのか?」
「そうです!すごいでしょう!」

もちろん一人ではなくて
マチさんやパクノダさんに
手伝ってもらいながら
がんばって作ったのだ。

スパゲッティとかハンバーグとか
肉野菜炒めとかほんとにたくさん。

「…どれどれ」
「いただきまーす」
「召しあがれ!です!」

みんながいっせいに食べ始める。
おいしくできてるかな?
大丈夫かな?分量とかまちがえてないかな?

そわそわとその様子を見守る。

カチャカチャ、とフォークや
スプーンの音だけが響く。

「うん…初めてにしては…」
「ああ、悪くないな…」
「パクノダが作るのよりはマシね」
「聞こえてるわよ」
「ちょっと薄味だけど…」

ヒソヒソと何やら話し声。

…おいしくなかったのかな?
どうしよう、まずかったのかな?

さっきまでの自信はどこへやら。
別に泣きそうになって、ないです。

「…おいおい泣きそうになってんぞ!」
「誰かはやくなんとか言え!」
「ごめんごめん!おいしいよ!」
「……ほんとですか?」
「うん!ほんとにこれ作ったの?って思うぐらい美味しいよ!」
「……おいしい、ですか?」
「すごく美味しいよ!ね!フィンクス!」
「お、おお!うまいぞ!」
「…えへへ、当たりまえです」

ようやく嬉しそうに笑ったので
メンバー全員ほっ…と胸を撫で下ろす。
史上最凶との悪名高いA級首の盗賊団も
8歳の女の子の前では形無しである。

「この肉団子とかおいしいよー」
「まるめるのが楽しかったです」
「形バラバラだけどなぁ」
「ノブナガさんうるさいです!」
「悪い悪い」
「このカニ玉も半熟具合いい感じだねー」
「シズクさんが半熟すきって言ってたからがんばりました!」

みんながパクパクと食べてくれるのが
うれしい。がんばって作ってよかったー

「………」
「…フェイタンさん、どうですか」
「…まぁまぁね」
「……おいしくないなら食べなくていいです」
「おいしくないとは言てないよ」
「むー」

素直においしい、と一言
言ってくれたっていいと思います。
だからフェイタンさんは小さいんです。

「…聞こえてるね」
「あ、聞こえました?ごめんなさいです。」
「またく…生意気なガキね」
「フェイタンさんは素直じゃないです」
「うるさいよチビ」
「チビっていう人がチビなんです!」
「なに」
「なんですか!」

チビ呼ばわりは怒ります!
せっかくごはん作ってあげたのに!

「あーあ、また始まった…」
「あいつらなんだかんだ仲良いよな〜」
「フェイタン意地っ張りだもん」
「シズクに言われたらおしまいだな…」
「あの子もああ言ってるけどフェイタンが嫌いな食べ物使わないようにしたりしてたしね」
「フェイタンだってチビとか言いながらも姿が見えないと「どこ居たね?」って心配してるしなー」

他のメンバーはそんな二人の様子を
微笑ましくながめていた。

「表に出るね」
「いいですよ。相手してあげます。」
「二度と口をきけなくしてやるね」
「わたしが勝ったらフェイタンさんを下僕にしてあげます」
「はっ生意気ね」
「なんですか…」

バチバチっ、と火花が散る。
フェイタンさんとはどうしても
打ち解けられないですね。

お互いに武器を構えた、ところで。

「…お前らなぁ」
「ぐっ」
「ひゃあ!」

ひょいっ、と服をつかまれて
軽々と持ち上げられる。

「食事中は…静かにしてろ…」
「フランクリンなにするね!」
「う、あ…」

高い、高い、高い…!

この間のウボォーさんのかたぐるまの
悪夢が蘇ってくるようで泣きそうになる。

「大人しく飯を食え」
「うう…ごめん、なさい」
「…チッ」
「おーフランクリン母さんさすが」
「母さんって…」
「じゃあ父さんは団長辺りか?」
「そういえば団長あさってにアジトくるみたいよ」

フランクリンさんに降ろしてもらって
大人しくごはんを食べる。

フェイタンさんは舌打ちして
どこかへ行ってしまった。
たぶん部屋に戻るんだろう。

ハンバークをぱくり、と食べる。
うん、さすがわたしおいしいです。


「フェイタンはああ言ってたけど」
「?シャルナークさん」
「ほら、ちゃんと完食してるよ」
「…ほんとだ」
「ね。また作ってあげてね」
「……仕方ないですねー」



(褒められたら)(悪い気はしません)



[back]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -