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 8歳が行く!2



「だっこにおんぶはNGです」


今日は幻影旅団として
美術館を襲っています。

わたしもお手伝いとして
一緒にきています。

「『犬犬猫猫-パペットドール-』」
『わおーん』
『ごろにゃーん』

念能力を発動する。
わたしの能力は具現化系。
犬と猫の大きなぬいぐるみを
具現化してそれで攻撃をします。

「さあ、お仕事がんばろうね!」
『ぐるるっ!』
『フシャー』

目の前にいる黒い服のたぶん警備の人たちを
二匹の大きなぬいぐるみが殴り殺す。
もちろんぬいぐるみだから銃はきかない。

炎は苦手だけど、爆弾も効かないし
剣ももちろん効かないから強いよ。

犬が大きな口でがぶり、と噛みちぎる。
猫が手をひと振りすれば鋭い爪が
男たちの身体を引き裂いていく。

「おお、派手にやってるなぁ」
「あ、ウボォーさんだ」
「お前ちっこいのにやるじゃねぇか」
「ちっこいはいりません」
「悪い悪いガハハハ!」

ウボォーさんは楽しそうに暴れる。
みていて気持ちいいほどに
人間がおもちゃのように飛んでいく。

ほへー、とながめていたら
いきなり視界がぐわん、と揺れた。

「?!」
「乗ってろぉ」
「ちょっとなにするんですか!」
「間違えて吹き飛ばしそうだからなぁ」
「お、おお、降ろしてください!」

気づけばウボォーさんに
担ぎ上げられ、頭の上に乗せられた。
うわわ、た、高い…!こわい!

とりあえずウボォーさんの
髪の毛をぎゅ、とつかんで
足に力をいれてしがみつく。

「ガハハハハ!!!」
「わっ、えっ、きゃー!?」

そのまま暴れだすウボォーさん。

ひえええ、視界が、ぐるぐる
うわっ、落ちっ…きゃあ!

「……なんだぁ、ありゃあ?」
「ウボォーが子供を肩車してあやしてる図?」
「……俺にはどうみても子供を誘拐しようとしてる悪人にしか見えねぇがなぁ…」

遠くでその様子を見つけた
ノブナガとシャルナークがつぶやく。

ウボォーはいつもと変わらず暴れている。

「あーあ…半泣きになってるよー」
「そりゃ、あんだけ振り回されればな…」
「ウボォーたぶん乗せたの忘れてるね」
「それまずいんじゃねーか?」
「うん。あの状況で『超破壊拳-ビッグバンインパクト-』なんてしたら…」

間違いなく頭の上なんかにいたら危ない。
と思った矢先ウボォーが念を込め始めた。

「…おいおい」
「ちょ…!」
「ウボォーギン!!!」

ノブナガが慌てて大きな声で叫ぶ。

その声はなんとか聞こえたのか、
念を込めるのを止めてウボォーが
こちらに気づいて振り返る。

「なんだよー今からいいとこだったのによぉ…」
「お前なぁ…頭の上の、降ろしてやれ」
「ああ?……おお、忘れてた」
「やっぱり…」
「おーいちっこいのー生きてるかぁ?」
「うえ…っ、ひっく、ひっく…」

頭の上から降ろすと大号泣していた。

ウボォーも悪いと思ったのか
バツが悪そうな顔で頬をかく。

「お前なぁ…」
「悪い悪い」
「まだ8歳なんだからー」
「ひっく、ぐすっ…こども、あつかい…ひっく、するな〜」
「……大丈夫そうだな」
「ガハハハ!」
「ほら、おいでー」

シャルナークさんが手を広げる。

こども扱いはいやでも、
いまはその広げられた手が
救いのように輝いてみえた。

よろよろとシャルナークさんの
元に近づいてぼふ、と抱きつく。
ひょい、と抱き上げられた。

「大変だったね〜大丈夫?」
「…はい、もう…平気です」

やさしく頭を撫でられて
ようやく落ちいた。
涙を手でごしごしとふく。

恥ずかしいところを見られました。
悔しいです…復讐です…

「ウボォーさん…」
「ん?」
「覚悟しろ…です」
「なんだぁ?」
「『犬犬猫猫-パペットドール-』」

念能力を発動させる。

「『マネっこ』『超破壊拳-ビッグバンインパクト-』!」

―ドガァアアン!!!

犬と猫のぬいぐるみのパンチが
ウボォーさんに直撃する。

『超破壊拳-ビッグバンインパクト-』を
マネしたのだ。威力は本物よりはないけど。

「うわっ!」
「おーすげぇなーこりゃあ…」
「泣かした復讐です。ざまーみろです」
「ガハハハ!いてーなぁ!」

さすがにウボォーさんには
ぜんぜん効いてなさそうだけど、
とりあえず殴ってすっきりしたので満足。

もう二度とウボォーさんの
かたぐるまには乗りたくありません。

ふんっ、と鼻を鳴らして
シャルナークさんの首に抱きつく。
シャルナークさんはああいう風に
手荒なことはしないので安心です。

「じゃあ、今度は俺がおんぶしてやろーか?」
「…ノブナガさんにも『マネっこ』してあげましょうか?」
「…いや、それは遠慮してぇな」


(この人たちのだっこもおんぶも)(ロクなことにならないです。)



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