血と、自分の汚れと、罪と
綺麗になるはずもないこの手
赤くて、汚い、醜い
何をしても落ちないわたしの罪
「ねむ…」
ヒソカさんと仕事を終えて帰宅してすぐに服を洗濯機に放り込んでシャワーを浴びる。うとうとしてきて目をこすった。お湯の温度を少し上げて体を温める。返り血を受けないようにと気をつけたが少し浴びてしまっていたので丁寧にボディソープで洗い落とす。
「…あれからもう、一年…かあ」
日本…地球からこのハンターの世界へとトリップ、飛ばされてから一年が経っていた。今は1995年12月頃。去年の9月頃にこの世界へとやってきた。
ヒソカさんに拾われ、戦い方を教わりホテルでマスターさんと知り合い、イルミさんに修行をみてもらったり人を、殺したり…
「今日も、たくさん、殺した」
今日の仕事はあるマフィアの掃討。ようするに見せしめの皆殺しだった。ビルにいた全員を殺した。仕事は仕事、と割り切っているが人を殺すのはやっぱり後味が悪い。
わたしはヒソカさんのように殺しを楽しむことはできなかった。確かに修行で強くなってから戦うことは楽しい。
大抵の人だったら負けない。ヒソカさんやイルミさんにはまだまだ追いつかないけど…。それでもこうやってヒソカさんの仕事の手伝いを許される程度には強くなったと思う。
「後悔はしてないけど」
ヒソカさんについていく。と決めた時点で覚悟は決めていた。イルミさんにも伝えた。こういう裏の闇の世界に足を踏み込んでしまうことを。
わたしはマフィアみたいに自分の欲望の為に力は使わない。大切な人を守るために、その人の役に立ちたい為だけに。
自分勝手で、我が儘でも。
シャワーを浴び終えてバスルームからでる。前はホテル暮らしだったけどいまはヒソカさんが家を一軒まるまる借りている。
「(ほんとお金持ち…)」
殺しは儲かる。やるせない気持ちになるけど生きていく上でしょうがないことだと割り切っていた。
「(わたしもすっかり汚れちゃったなー)」
この手も、ぜんぶ。