「俺のこと好きだよね」
「誰が、」


あんたみたいなくそビッチ、そう言って俺を冷めた目で見詰めたのはずっとずぅっと好きで好きで仕方のなかった名前ちゃん。ひどいことを言われているはずなのに、傷付いてるはずなのに。俺はその瞳に思わずぞくりと、背徳的な何かを感じた。

一世一大の告白をこんな、こんなにも屈辱的な形で振られたのにも関わらず俺の心臓はどくりどくりと脈打って、じわりじわりと胸が熱く苦しくなっていく。紅潮していく俺の頬を見て君はどう思っているんだろう。そんな意味合いを篭めて視線を名前ちゃんに投げ掛ければ、俺を見る視線と重なり合う。彼女の怯えたような目にひどく欲情した。


「やだ、何…顔赤くし、て…」
「名前ちゃん、どうしよう」


俺、君のお陰でドMになったみたい。そう言って笑えば名前ちゃんの口から悲鳴みたいな声が小さく漏れた。怯えちゃって…可愛いな。俺は一層笑みを深くして、隠すことなく彼女に歩み寄りながら呼吸を荒らげた。ああ、ねえ可愛いよ名前ちゃん。涙なんか浮かべちゃって、可愛いなあ。

でも、俺以外にもそんな顔を見せてたりして。来ないでと、すっかり腰を抜かし立てなくなった彼女を見ていてふと思った疑問。がたがたと、その俺よりも小さくて華奢な体を震わせて涙を流して懇願する彼女を見て、こんなにも可愛い名前ちゃんを他にも見た男がいると思えばいらいらとした。


「こんな顔して他にも男を誘惑したんじゃない?」
「ひっ…」
「ビッチはどっちだろうね」


顎を少々乱暴に掬って顔を近付ける。瞳から零れ落ちるた涙を一筋、べろりと比較的厭らしく、それでいて俺が今一番満足出来るように舐め上げる。そして目を見開いた彼女の前で口角を吊り上げた瞬間、彼女が声にならない声で絶叫した。ああ、ねえ名前ちゃん。もしかしたら俺はMよりSの方が向いているのかもしれない。今だってほら、


SとMは表裏一体
君の怯え切った瞳に欲情しているのだから




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