正面からもたれ掛かってくる汗だくの妖を抱きしめた。いつもはこんな弱った姿絶対に見せないのに、きっとものすごく疲れているんだ。そうに違いない。だって、あんな無茶して、試合にに戻ってきて。
フィールドの上で疲れを忘れたように飛び跳ねて歓喜するチームメイト。それを一歩下がって見つめる武蔵が、ふとこちらを向いた。私たちを見て、目を細める。その目があまりにも優しいもんだから、涙腺が緩んでいく。
そうだ、わたしたちは、やっとたどり着いた。

「…ケケケ、糞ブスが更にブスになんぞ」
「ば、っか」

正直、心のどこかで諦めていた。たった3人でなんて。そう思っていた。でもそこにセナが現れて、たくさん仲間が集まって。毎日毎日描き続けた夢が、現実になったんだ。
そう思うと途端に実感が湧いてきて、ぼろぼろ涙が溢れて妖の肩を濡らした。

「妖」
「…あ?」
「ありがとう、連れてきてくれて、こんなとこまで」

妖の背中をぎゅうぎゅう抱きしめた。妖は折れてない方の手で私の頭をかき混ぜた。

「連れてきた覚えはねえ、お前が自力でついてきやがったんだ、こんなとこまでな」





IC:蛭魔
白秋戦直後。捏造激しい
20121019








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