あなたは一体どんな顔をするだろう。喜んでくれたら嬉しいけど、きっと怒るだろうと思う。すんごい怒鳴られる気がする。もしかしたらげんこつ食らうかもしれない。それでもね、私は何も後悔してないから。 真っ白な砂浜を裸足で駆けていく。無色な世界であなただけは鮮やかに着色されていて、その首元の黄色が風に揺れては私を呼んでいる。 私に気付いてないあなたは、つまらなさそうな顔で海を眺めてる。そんな顔、船ではしたことないのに。でも仕方ないよね、こんな場所にひとりっきりじゃあ、退屈すぎてまた死にそうになっちゃう。
「サッチ!」
足がもつれそうになりながらも走って、大きな声であなたを呼んだ。あなたはびくりと体を震わせた後、ゆっくりこっちを向いた。目を真ん丸く見開いて、口をぱくぱく。無防備でしかないあなたを、思い切り飛び付いて押し倒した。
「きちゃった」 「…ばか、お前、マジでばか」
案の定喜んではくれなかったけど、げんこつもなかった。その代わり、懐かしい温もりで私の体が包まれる。 ごめんな。ぽつりとあなたが呟いた。
op:サッチ
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