さて、私の食事はいつも通りでいいとしても…



「皆の食事どうしよう…」


『…………』



ドッグフードやキャットフードがあるわけがないし、あっても食べるのに抵抗あるよね。


何かネギがダメとか聞いたことあるし、人間以外が食べちゃダメな物はいっぱいあるだろうし。元が人間とは言え今は動物なんだから、気を配らないと。



「多分ご飯はダメ、お餅は論外。麺類も不安。芋は…多分大丈夫。パンも大丈夫でしょ。後は牛乳…?あ、草食動物いるんだし野菜も必要かな…」


「ちょ、佐和ちゃん?そんな気使わなくても多分大丈夫だって」


「ダメ!下手なもの食べて何かあったらどうすんの!大人しく待っててよ、佐助も小十郎さんも今は料理出来ないわけだし」


「………はーい」



とは言いつつも、動物の知識なんてこれっぽっちも持ってないわけだからどうしよう。


取り合えず、余計な調理はしない方がいいでしょ。あと加工したやつはあんま食べさせない方がいいかな。佐助と小太郎はパン千切ってあげればいいか。



「ま、何にしろ元に戻るまでお菓子とかは禁止かなー」


「「「…………!」」」ガーン


「さてと、食べられそうなもの…鶏肉とシーチキンとレタスとごぅ!?」



冷蔵庫の中身をとろうとした私の背中に衝撃が走り、勢い余って上の段に衝突した。


前も後ろも痛いし挟まった手も痛い。なにこの二重苦。


言うまでも無く誰かに衝突されたわけだが、それにしても一体誰が、



「「「………」」」ジーッ


「…そんなジト目で見られても駄目だからね犬蛇狐」


「「「…………」」」ウルウル


「…いや、そんな円らな瞳で見られても困るからね幸村三成就にぃ」


「佐和殿おぉー…何故駄目なのでござりますかー…」


「すりすりしてこないの幸村!」


「佐和、甘味を食わせるならば我の尻尾をもふってもよいぞ!か、勘違いするでないぞ?甘味の為にやっているだけであって別にそなたに撫でてもらいたいなどと…思ってないのだからなっ…!」


「何でツンデレ風なの就にぃ!?ああっ!でもくっそモフモフの誘惑くっそ!」


「ええい!さっさと甘味を出せ!出さないとこうだ!」


「早速強行策に出んな三成うぐぇっ!首絞まる首絞まるって!」



ギブ!ギブギブ!とバシバシ床を叩いて降参すれば、漸く首が解放された。跡残ってないだろうな。



「さあ、甘味を出せ!」


「ゲホッゲホッ…だが断る!」


「なん…だと…っ!?我のこの尾をもふりたくないというのか!?」


「いやもふりたい!もふりたいよ抱き締めながら昼寝したいよ!でも駄目なの!犬や蛇や狐がお菓子食べて何か悪影響合ったらどうすんの!我慢しなさい!どうせ今日中には元に戻るだろうから!」


「うう…某のきゃらめる…」


「ああもう!元に戻ったら満足するまで食べていいから!!」


「ああ、それならば別にいい」


「今日の夜は甘味食べ放題にござるなお二方!」


「おまえらこのやろうちくしょう!」



結果的に、奴らが得する形となってしまった。まさか初めからこれが狙い…!?


…いや、そしたら就にぃが「計画通り」とか言ってそうだし、ただの偶然か。


ん?こういう時何て言うの?漁夫の利?棚からぼた餅?豚に真珠?違うか。まあいいや。






「ふいー食った食った」



皆のご飯も食べ終わって、今は自由時間。鳩とカラスが喧嘩したり、猫と犬が叩きあったり、狼と兎と猿がテレビ見てたりする、至って平和な光景だ。違うか。


え?蛇と狐はどうしたって?首に(ゆるーく)巻き付いたり私の膝の上とピカチュウのぬいぐるみの間を交互に行ったり来たりしてますよ。



「…ってか、何してんの就にぃ」


「甘味が食えぬ上でぃーえすも出来ぬことへのすとれすを動き回ることで発散しておるのだ。…だかもう無理ぞ。我無理ぞ。腰が…足が…」



そう言うなりポスンと私の膝の上に乗っかって丸まる就にぃ。


全くもう、精神年齢は永遠の少年でも身体年齢はおじいちゃんなのに無茶するから。



「……何をしておる。はよう撫でよ。我を労らぬか」


「え?あーはいはいっと。モフモフモフモフー痒いところございませんかー」


「無い。だが心地よい故もっと撫でよ。手が疲れて上がらなくなるまで」


「それは嫌。でもあああモフモフすごい、モフモフ可愛い、モフモフギュってしたい!というわけで抱き締めていいっすか」


「……あまり強くするでないぞ」


「ひゃっふい!」



許可ももらったので思いっきり抱き絞めると「ぐっ」と声が漏れた。やば、強くしすぎた。でもモフモフ最高モフモフ癒されるモフモフは正義!


そうして就にぃの抱き心地を堪能しているとまた首が締まった。本日二度目なのであーる。ちょ、マジ死ぬ!



「み、三成何事…アンタにゃなんもしてなうぇっ」


「この阿呆!今は畜生の姿であっても、元は毛利なのだぞ!慎みを持て!元の姿ならかなり問題だぞ!」


「そりゃアンタにも言えるんじゃないのー石田の旦那」


「………」コクン


「おおう佐助…小太郎…プハッ」



突如肩に舞い降りた佐助カラスとこた鳩によって解放された私。正確には三成の首絞めがちょっと緩んだ。今回コイツ絶対に殺しにかかってるな。





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