今日はなんかおかしい。いつも起こしに来る小太郎も佐助も来ないし、小十郎さんが朝食作ってる匂いもしない。


と言うか、家全体が妙に静かだ。…って、前もこんな展開あったな…。



「部屋にも誰もいない、か…このパターンはあれか、いつぞやの猫化の。ってことはまた全員猫化?それとも犬化?」



…なんか、すっかり慣れちゃった自分が悲しくなる。


このパターンだと、階段降りてリビングに行くと、「にゃー」もしくは「ワン!」という鳴き声がして、そこに皆がいるという…。



「佐和!貴様やっと降りてきたのか!早く開けろ!」


「……あれ?」



鳴き声じゃない?え、何、今回喋れんの?マジで?やったね意志疎通が楽になる!


…ん?でも何か、影がおかしいんだけど。何か頭突きしてるんだけど。何か長細いんだけど。


あれ?さっきの声三成だよね?三成一体何になったの?犬猫違うの?


恐る恐る開けてみると、足に何かが絡みつ…絡みつい、て…え?



「ぎょえぇぇ!?」


「ええい落ち着け佐和!私だ!」



足に絡み付いていたのは、それはそれは綺麗な鱗に身を包んだ喋る白蛇、もとい三成だった。


そしてリビングの中は、犬猫狼などのバリエーション豊富な愉快な動物達が屯していました。



「…やだ、私ったらいつの間にムツゴ□ウさん家に来てたのかしら」


「現実逃避するな!ここは間違いなく貴様の家だ!」


「いだだだ!三成咬まんといて!」








どうやら今回は、皆違う動物になっているらしい。しかもどういうワケか知らないけど皆喋れるらしいから、特徴を見なくてもすぐに分かることが出来た。


まず、さっきの通り三成は蛇。政宗は猫、幸村は犬、小十郎さんは狼、佐助はカラス、慶次は猿、就にぃはキツネ、にーにはウサギ、小太郎は鳩になっていた。


鳥類が二匹いるのが気になるけどけど爬虫類だっているんだしまあいいか。



「政宗は猫だから前と全然変わんないね」


「何か中途半端ですげぇ嫌だな…どうせならDragonになればよかったのによ」


「えー、朝起きてリビング行ったらドラゴンが居ました、何て展開は私も流石に嫌なんだけど」


「フ、それもそうか」


「全くもー政宗ったらー」


「貴様ら何故こうも馴染むのが速いんだ!…いや、言っても無駄か…」


「「染まってきたな、三成(石田)」」


「止めろ!私は断じて認めない!貴様らと同種になど、なってたまるものか!」



鎌首ブンブンして拒否する三成。そんなに嫌か。


確かに10分で皆馴染んだけどさ、仕方ないじゃん慣れたんだから。



「慶次さ、その棒どっから持ってきたの?まさか外出た!?」


「いや、起きたらあったんだ。…にしても、うーん…この格好…やっぱり、夢吉だよなぁ…」


「夢吉?」



確かに慶次は他の面子とちょっと違って、最大の特徴(?)と言うべきポニーテールや髪飾りが無くて、代わりに見覚えのない紅白の縄を首に巻いていた。


どうやら、慶次に縁のある子猿さんの「夢吉」の姿のようだ。可愛いな夢吉。



「あれ、佐和ちゃんには話したことなかったっけ?俺の大切な相棒で、友達なんだ」


「へぇー。で、慶次は今その夢吉の姿なんだね。じゃ、今日は慶次のことは夢吉って呼ぶわ」


「やめて!名前すら出なくなったら俺完全に空気になる!」



うっすら涙目で嫌がるそのしぐさは元の姿より今の姿の方がしっくりくるし可愛いと思うよ、夢き…慶次。


あと、名前出る出ないは空気度には関係ないと思うわけだよ。全ては管理人のさじ加減なんだし。


…それはそうとして。



「お腹すいたなぁ…」


「何故この状況でそれを言えるんだ…」



ドタバタしてて忘れてたけど、今は朝起きたばっかりの時間帯なわけで。


どんな状況であれ、朝食、大事、絶対。



続く




「果たしてこれは二周年にやるような話なのか」

「そこは突っ込まなくていいと思うよ佐和ちゃん!」



二周年ありがとうございます!
本当に二周年にやるような話では無いのですが、楽しんで読んでいただけると幸いです。


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