※幸村目線、途中から佐助目線
※夢主は殆ど出ない
※佐助と夢主の結婚式ネタ
※1(三成/家康)、2(元就/元親)は短編logにあります
…友人代表スピーチなど、何を話せばよいのでござろうか…。
昔から世話になっていた佐助が結婚することになり、その披露宴にて佐助の友人代表として、俺はスピーチを任された。
佐助がかねてより想っていた御仁と結ばれたことに関しては嬉しいのだが、その御仁は俺も恋慕っていた真由美殿であるため、些か複雑な心境でもある。
…否、真由美殿が佐助を選ばれたのだ。俺は潔く諦めるべきであろう。今はそれよりも、与えられたこの使命を果たすことに集中するより他にない。
「うおぉぉ果たして見せますぞ!ぅお館さむあぁぁぁぁ!!」
「うおっ!?何やってんだ真田幸村!ここWedding reception venueだぞ、少しはprudenceしろよ」
「政宗殿!貴殿も呼ばれたのでござるか」
「ああ。…猿にな。あのmonky、絶対俺への嫌がらせで呼びやがった。間違いねぇ」
「さ、左様にござるか…」
政宗殿も真由美殿を慕っていた一人であるし、佐助と政宗殿は馬が合わず何度も互いの邪魔をしていたのを俺は何度も見ていた。
佐助が当て付けで呼んでもおかしくはないだろうが、当て付けだと分かっていても来たあたり、やはり律儀な御仁だ。
「まあ、俺の目的はただ一つ、真由美のWeddingDress姿だけだけどな!」
「………」
訂正、そうでもなかったようだ。
「…で、真田。お前友人代表Speechやるんだったか?」
「その通りでござる!…だが、どうにも内容が思い浮かばず…」
「おい。開始一時間前だぞ」
「そうなのでござるが…如何せん、某このような事には慣れておりませぬ故…」
「!……Hun…」
サラサラ
「…Hey真田、どうしても思い浮かばねぇってなったらこれ読んどけ。あくまで最終手段だから、Speech直前まで読むんじゃねぇぞ」
「!おお、感謝致す!…ところで政宗殿」
「Ah?何だよ」
「何故その様な悪どい笑みを浮かべておられるのでござるか?」
「HA!気のせいだ、気のせい」
* * *
壇上では、真由美殿の友人代表として、かすが殿がスピーチをしておられる。
それを聞きながら、先程政宗殿に与えられた紙を一瞥した。
直前まで考えても、真由美殿を泣かさないようにしろ、の一言しか出なかった…。かすが殿が10分もの長いスピーチをしておられるのに一言で済ますのは、流石に不味いだろう。
そう言うわけで、政宗殿の"最終手段"に頼ることになった。他人に頼るのは情けないが、一言で済ますよりはましだろう。
『続きまして、新郎猿飛佐助様の御友人代表、真田幸村さん、お願いします』
名を呼ばれ、壇上へと立つ。佐助の、真由美殿の為にも、ここで恥を晒すわけにはいかない。俺は政宗殿の紙を開いた――――
―――その後のことは、よく覚えていない。
***
『続きまして、新郎猿飛佐助様の御友人代表、真田幸村さん、お願いします』
「あ、ユッキーだ」
「真由美、披露宴中だから喋んないの」
「はーい」
真田の旦那にこういうのを任せるのには些か不安があったけど、独眼竜に任せるよりよっぽどマシだった。
やっぱり真田の旦那に任せといて正解だったなあ。あんなに堂々としてて…立派に成長したなあ。俺様感動。
…と思いきや、紙を開いた途端に真田の旦那の顔が一瞬青くなり、それからすぐ赤くなっていって―――
『は…は…破廉恥でござるぅぅぅあああっ!!』
そう叫び、顔を抑えながら会場を脱走してしまった。
「ええええぇぇぇっ!?ちょっとぉぉ真田の旦那ぁぁぁぁ!?」
「わーユッキーらしいスピーチだねー」
「今のスピーチって言うのっ!?………ん?何だこの紙」
その紙は恐らく、真田の旦那がスピーチの時に持っていた紙。……だけど、内容は真田の旦那が絶対に書かないような、言ってしまえば放送禁止用語の羅列。
さっきも言ったが、こんなの真田の旦那が書けるはずがない、なら一体誰が……ん、あれ、この筆跡凄く見覚えが…。
「……ハッ!?」
バッ、と客席に目を向ける。
ざわつく会場の中、俺の視線の先にいるその男が鼻に親指を当て手をひらひらと振る動作をしてるのを見て、殺意が芽生えたのは言うまでもない。
相談相手はきちんと選びましょう
幸村がやらかす=破廉恥+脱走しか思い付かなかった。そしてやらかしたのは政宗の方な気がする。
ちなみに鼻に親指を当て手をひらひらさせる動作は、手話で「バーカ」という意味…だったはず。間違ってたらすいません。
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