▼三つ子がご来店しました
三つ子がご来店しました
「ゴメンねー、今日ばとる受け付けて無いの」
俺がそう断れば、不機嫌そうに口を尖らせる客。仕方ないでしょ、ばとる出来る人今いないんだから。
毛利の旦那ったら、ばとるさぶ…えい?だか何だか知らないけど、佐和ちゃん連れてくのはせめて営業日じゃない時にしてほしいもんだよ。
こういう日に限って長曽我部の旦那もいないしさあ。ついでに青尺取り虫も。仕事何だと思ってんのさ全く。
ただでさえ働き手少ないのにどいつもこいつも居なくなるから今働いてるの風魔と俺だけっていう最っ低で最悪な状況になってんじゃないかどうしてくれる。
「折角俺らと同じバトル出来るのが売りのところ出来たっていうから来たっつーによー!」
「ポッド、うるさい。他のお客様の迷惑だろう」
「すいません、ビレッジサンド三つと、クラボティー、カゴティー、チーゴティーを一つづつお願いします。ああ、連れがうるさくてごめんなさい」
「あーうん、気にしないでいいよ。えっとびれっじ三つと、くらぼ、かご、ちーごね。んじゃ暫く待っててね」
…それにしても、変な子達。 顔は似てるけど、髪の色全然違うから兄弟じゃないのか?いやそれ以前に、どっかで見たような気がするんだけど…特に緑の子。
ま、いいか。今は仕事仕事っと。
「バオッ!」
びれっじさんどを作り終えたところで、いつものアイツがやってきた。今日は特に助かる。何てったって今は絶賛人手不足なのだ。
「あ、バオップ!今日も来たの?いつもありがとさん」
「バオ!」
「おっ、そのバオップアンタのか?ならバトルできるじゃねーかバトルしようぜバトル!」
「えっ?あ、いやコイツは俺様の手持ちじゃないしそもそもばとるは」
「バオッ!バオーッ!」
「えええやる気満々!?いやちょっと待って俺様ばとるできな」
「じゃ、早速始めるぜ!」
「ちょっとおおお!!ああもうどうにでもなれ畜生!風魔その二人にびれっじさんどとかごていーとちーごていー渡しといて!」
風魔は一瞬いかにも嫌そうな顔をしたが(いつかはったおす)、流石に仕事なので大人しく言うことを聞いた。 それよりもこっちが問題だ。俺コイツがどういう技覚えてんのかも知らないんだけど!
「いけっバオップ!」
「バオッ!」
「あ、あっちもバオップなんだ…」
「バオップ、"ふるいたてる"からの"みだれひっかき"!」
「わあああ!どうすりゃいいのさ…!」
「バオー!」
「えっ」
俺が指示していないのに、バオップは自分で戦い出した。相手のバオップの攻撃を素早く避けて、後ろから技を食らわす。何アイツ強い。
「うおっ!?はえーなお前!だけど俺のバオップも負けねえぜ!"はじけるほのお"!」
「!右後ろに避けろ!」
「バオ!」
「そのまま右から回り込んで、さっき技もう一回!」
俺の指示通りに動いたバオップは、さっきの技を的確に相手のバオップに命中させた。少しふらついて、そのままバタ、と倒れる。
「か、勝った…?」
何とかなったみたいだ。戦とは全く違う緊張感が急に途切れて、思わず座り込んだ俺をバオップが心配そうに見ている。
大丈夫、と言って、頭を撫でてやる。少し熱いけど、頑張ってくれたご褒美なんだからこれくらいどうってことない。
コイツが強かったお陰で何とかなったんだ。それにしても何でコイツこんなに強いんだろ。
「あー負けちまった!でもよく頑張ったなバオップ!ゆっくり休めよ!」
「すごく美味しいですね、このビレッジサンド。ああ、バトルも素晴らしかったですよ」
「確かに。バトル初心者のようですが、指示は素晴らしかったと思います。このコーンともバトルをしていただきたいのですが、今はその余裕が無さそうなので、またの機会と致しましょう」
「うん、そうしてくれるとありがたいかな!」
正直、今日はもうばとるしたくない。全然慣れなくてすっごい疲れた。やっぱり俺、ばとる覚えた方がいいかもしれない。
あと風魔、なに舌打ちしてんの。負ければよかったのにとでもいいたいの?ホントアンタ後ではったおすからね。
「では、そろそろ帰りましょうか」
「おい!おれまだ何も食ってねえぞ!」
「持ち帰り大丈夫でしたっけ」
「ああうん。いくらでも持ち帰っていいから」
風魔にレジを任せて、机に突っ伏す。 ホント今日疲れた。それにしても、やっぱあの子らどっかで見たことある気がすんだけど…。
「では、ごちそうさまでした。ああそれと、」
ピラ、と音がして顔を上げる。 サンヨウレストラン、という文字が見えて、思わず目を見開いた。
「今度は是非、ぼくらの店にもいらっしゃってくださいね」
そうだ、こないだテレビで特集してた、サンヨウしてぃのじむりーだーの三つ子だ。
通りで見たことあると思った。
カフェで働かせてるからには、この三人は出しておきたかったので。口調迷子だけど。特にコーン。
デントに特に見覚えがあったのは、元の世界に居たときアニメで何度か見たからです。
【余談】 佐助のバオップ君は素早さと特攻がVで"そうとう優秀"です。カンストではないけどレベルもそこそこ高い。
|