▼小十郎さんと果樹園
小十郎さん(+α)と果樹園
「ここの木の実はどうなってやがるんだ。一日二日、長くても五日ですぐ育って実をつけるなんぞ、あっちの野菜じゃあり得ねえな。まあ、育てがいがあるからいいが」
プチップチッ
「石田!その辺りのチーゴの実に手ェ出すんじゃねぇ!まだ熟してねぇから夕方まで待て!」
「チーゴ狩りはいい。心が洗われるようだ…」
「おめぇは狩る『だけ』だろうが。やつ時に出しても食わねぇくせに」
「当たり前だ。チーゴの実は苦い」
「それがわかってんだったら食えるやつだけ狩ってろ!熟したナナの実やモモンの実ならあっちだ!」
「分かった」
ザザザザザ…
「全く……ん?」
モシャモシャモシャ
「………」
ガシッ
「!」ビクッ
「またテメェか海丸!生ってるヤツを食うなと何度言ったらわかるんだ!」
「ミジュウ…」
長曽我部の手持ちである海丸(名前と反してメスらしい)は、渋い物が好きらしくよくカゴの実を漁ってくる。しかも収穫済みの物ではなく生っているやつを。
正直、其処らの鳥ポケモンより厄介なやつだ。
「……はあ。もういい。おい海丸、カゴの実全部狩ってこい。食うのは禁止だ。食わずに持ってきたらそれでぽふぃんを作ってやる」
「!ミッジュ!ミジュー!」
「地面に落とすんじゃねぇぞー」
嬉々として駆けていく海丸を見送ってからまたオレンの実を摘み取っていく。
しばらく経ってから、俺の回りに緑のてるてる坊主みたいなやつらと綿の塊みたいなやつらがワラワラと集まっていた。
「………何だ、お前らも食いたいのか?」
「「チュリー!」」 「「メーン」」
「…そうか。じゃあやつ時にするか」
………その後、海丸が予想以上に摘んできたカゴの実、更に石田が摘んできたチーゴ、ナナ、モモン、俺が元々摘んでいたオレンの実、と大量の木の実が山のように積まれ、俺は大量のぽふぃんを一人で作るハメになった。簡単に約束するもんじゃねぇな。
だが、嬉しそうに美味そうに食うぽけもん達を見れば、そんな疲れも何処かに飛んでいってしまうのだ。
ああ、こんな生活も悪くはない。
(おい石田、チーゴの実はテメェが摘んできたんだからせめて一つくらい食べろ) (だが断る、チーゴの実は苦い) (だったら狩るんじゃねぇよ) (チーゴ狩りはいい。心が洗われるようだ) (それさっき聞いたぞ) (チュリー)
果樹園の小十郎さん。広大な果樹園を殆ど一人で完璧に管理しています。小十郎さんの作る実は美味と評判。時々普通のより5倍くらいデカイヤツが生ったりする。
最後に出てきたのはチュリネとモンメンです。チュリネの住む土地は作物の育ちがいいらしいので。果樹園では一番エンカウント率高いチュリネ。
冒頭三成のセリフは藍子さん宅のマダオ三成から頂きました。ちゃんと藍子さんに許可貰ってますよー
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