▼佐助とカフェ
カフェの日常


「佐和ちゃーん、これ三番てーぶるによろしくー」

「はいよー」


モモンの実のタルトとカイスの実ジュースを片手に三番てーぶるに向かっていく佐和ちゃんを見ながら、俺はまた料理に取りかかる。

右目の旦那だけに働かせるのも何かシャクだからと始めたかふぇは、大分繁盛していた。

ここ最近は女の客が多い。女は甘いものが好きだからなぁ、と思っていたけど、佐和ちゃんは俺らがいけめんだからとか言っていた。意味がわからない。

食後、佐和ちゃんにぽけもんで勝負を挑む奴も多い。佐和ちゃんはよろこんでやってるみたいだけど、あの数じゃ一人でやるの大変だろうな。俺もそろそろぽけもん持った方がいいかもしれない。


「バオッ!」

「ん?ああなんだまたアンタか」


そう俺が話しかける相手は、人ではなくてぽけもんだ。

ちょっと垂れ目な、赤い小さな猿。佐和ちゃんはこいつを"バオップ"と言っていた。

右目の旦那の果樹園に忍び込んでまだ熟してない実を採ろうとしたもんだから、慌ててけーきの余りをやったのは懐かしい話。その味を気に入ったらしいこいつは、以後店の開いてない日でも毎日ここにくるようになった。


「今日も手伝いに来たの?」

「バオッ!」

「んじゃ、此処等の木の実焼いといて。それが終わったら配膳の手伝いしてくれよ」

「バオ!」


そして、店が開いている時はこうして手伝ってくれる。木の実を焼くときは勝手に丁度いい加減で焼いてくれるものだから、使い慣れてないおーぶんより使える。

それに配膳も嫌な顔一つしないどころか積極的にやってくれる。報酬も余ったけーき一つくれてやれば満足してくれるわけだし、本当にいいやつだ。


「終わったの?じゃあこれ八番てーぶるね」

「バオッ!」

「へー、バオップまた来てるんだ」

「あ、佐和ちゃん」

「店員でもないのにスゴい働いてくれるよねあの子。いい子だねー」

「だよねー。風来坊の旦那や真田の旦那より働いてるもんねー」

「佐助はさー、あの子捕まえないの?」

「うん。今のところはね」



別にアイツは捕まえられたいわけでもなさそうだし、しばらくは、気のきくばいとでいいかな、と思っている。


(それ終わったらまた木の実焼いてねー)
(バオ!)




佐助と自主的にバイトしてるバオップ君。佐助曰く、放浪者慶次より使えるらしい。

カフェは、佐助・佐和と政宗小太郎、時々慶次幸村元親でやってます。

- ナノ -