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政宗とデート
type2
Date with Masamune.
メンズファッション特集を見て、新しい服が欲しいと言い出した武将たち。
私も丁度、駅前に出来た新しい服屋に行ってみたいと思ってたし、軽く承諾した。
でも新しくできた所で人が多いだろうから、という事で連れていくのを一人に絞ることに。そして厳正なる籤の結果………
「政宗になった、というわけ」
「何がだよ」
「こっちの話」
「……そうか」
そう言うと政宗は、再び町を見渡しキョロキョロとしはじめた。
政宗は今、青いカチューシャで前髪をあげ、右目は医療用眼帯で隠している。服はというと、肩を露出した青いTシャツ(真ん中にI don't know!と考える人のシルエット)の下に黒のタンクトップ、灰色のダボダボのズボンを履いている。
何てことない服装なのにイケメンが着るとどうにも輝くようで、既に道行く女性が政宗に熱い視線、隣の私に冷凍ビーム並に冷たい視線を送ってきていた。おおう。
「…うーん、私じゃ隣を歩くにゃあ役不足かもなー。もっときれいなお嬢さんいっぱいいるしさ」
「んなこたねぇよ、俺は香水(…だったか?)振り撒いてる女よりお前みてぇな自然に薫るような女の方がいい」
「匂いフェチ?」
「ちっげぇよ、バーカ」
こうして話してると、政宗がイケメンだってことも忘れちゃうや。長年連れ立った友達みたいに気軽に話せるから、会話が弾む弾む。
気が付いたら、既に店の前だった。
「これがいいんじゃない?」
「何だそのアホ面のbird。…それより、俺はこいつがいいな」
「うわ派手っ!存在自体派手なんだからちょっとは自重しようよ、ね?」
「存在が派手ってお前…coolじゃねぇか」
「あ、いいんだ」
アホ面の白い鳥が印刷された黒地のTシャツを棚に戻す。
「結局それでいいの?」
「おう」
「後はまぁ…適当で」
「ぶっちゃけsizeあってりゃall OKだろ」
「あいつらイケメンだし、それなりに着合わせりゃなんとかなるって」
残りの面子は適当に決め、会計を終えた。
「行くよま…わわっ」
店の入り口まではそんなに距離はないけど、開店したばかりで人口密度が高い。人波に流されてしまいそうだ。
「佐和!……っ、仕方ねぇ!はぐれねぇように、だからな!?」
「えっ?うわわっ!?」
返事をする間もなく、腕を強く引っ張られ、人波を進んでいく。
前を進む政宗の背中が、妙に広く頼りがいがある気がした。
「……っハァ!脱出成功かな?……あ」
異常な人口密度から開放され顔をあげると、自分の右手が政宗に掴まれているのが分かった。おお。
「…っ、わ、わるかったな勝手に掴んで…。で、でもさっき言ったが、仕方なかったんだ!はぐれねぇようにだったんだからな!?か、勘違いっ…すんじゃねぇぞ?」
顔を真っ赤にして必死に弁解しようとする政宗が可笑しくて、ついクスリと笑ってしまう。
「…ツンデレ?」
「ちっ、ちげぇよバカ野郎…っ!…おい、なんで離さねぇんだ?」
「いいじゃん。手を繋ぐくらい!…他のお嬢さんへの抑止力にもなるし、ね?まあ嫌ならやめとくけど」
「……いや、いい…このままで」
ギュッと握り返された手の温もりに、ほんの少し笑みをこぼして。
まるでデートみたいだと言ったときの政宗の慌てように笑いながら、ゆっくりと家に帰った。
家に帰った後、手を繋いだままだった私たちを見て、佐助と小十郎さんがぶっ倒れたのは何故だろう?
T O P