こんな武将で大丈夫か? 25/63
武将達が来て、三日目。
今日も佐助に起こされました。お母さんおはようございます。
オカンじゃないとしつこく言う佐助と一緒にリビングへ向かう。
ガチャ
「みんなおはよー」
「Good morning、佐和」
「おはようございまする!!」
リビングでTVを観ていた政宗と幸村が私の方を向く。最初ビビりまくってたTVにもすっかり慣れたようだ。
キッチンでは小十郎さんが朝食を作っている。匂いからして、今日はフレンチトーストらしい。…多分TVで覚えたのね。
元親と慶次はチャンネル争いをしている。
今日も一日平和で…
「…って元就は?」
「庭に居んだろ」
元親が差す方には、ピカチュウ(のぬいぐるみ)を頭に乗っけて、朝日に向かって両手を広げる元就の姿。
………何してんだろ。
「元就ー何してんの?」
「見れば解るであろう」
「解らないから言ってるんだけど」
「日輪を拝んでおるのだ。…貴様もどうだ?佐和」
「やるやるー!(なんか面白そう)」
「あ、やるんだ」
私は庭に降りて元就の隣に立って同じポーズをした。
「日輪よ!!」
「日輪よー!」
そんなこんなで、今日も我が家は平和です。
「買い物?」
「うん。もうそろそろ行かなきゃなって思うの」
朝食を食べながらみんなに説明する。
10日分頼んでいたはずの食料がよく食べる幸村と慶次、元親のせいで既に底を尽きかけていること、いい加減全員がTシャツとジーンズなのはどうかと思うこと。
「それに、皆も外行きたいかなーって思いまして」
「えー、別にいいよ」
「外出るのめんどくせぇー」
「…ま、まぁ何にしろ行かなきゃだから。一緒に行かないと服のサイズ…えっと大きさとか解んないし」
「あー、そっか。佐和ちゃんがそう言うんなら仕方無いかー」
…何この無気力な武将達。普通外行きたいとか思う筈じゃない?ヒッキーかお前らは。
「それじゃ一時間後…半刻したら行くから、準備しててねー」
「「「「はーい」」」」
「あーだりぃー」
「めんどくせぇー」
「…………」
こんな武将で大丈夫か?
(大丈夫じゃない、問題だ)
「……で、今何処に向かってるの?」
「近くのショッピングモール。食品からからくりまで色々揃ってる便利な場所だよ」
「へぇー…未来ってのはすげぇな。今さらだが」
因みにそのショッピングモールはうちのグループの系列。会長の孫ってことで贔屓にしてくれるから助かるんだよねー。
………それにしても。
「ねぇねぇ、あの人たちカッコよくない!?」
「ほんとだー!しかもあんなに沢山!!」
キャアキャア
「……なんか周りが煩い気がするんだけど、俺の気のせいかな?」
「いや、気のせいじゃねぇぞ慶次。俺もそう思う」
「しっ…しかも騒いでいるのがおなごばかりである気が…はっ破廉恥!!」
「何かあったのか?」
「何か」って…いや、あんたらのせいだよ。
ドタバタしててあまり気にして無かったけど、この武将達結構イケメンなのだ。それも某アイドルグループにも匹敵するくらいの。
Tシャツ姿でもその美麗さは止まることを知らず、現在進行形で周りのギャルっぽい女子高生、派手な大人のおねーさん方を虜にしている訳だ。
………もし私のいない間におねーさん方に逆ナンされても、私助けないからね。だって巻き込まれたくないし…
「おい佐和前」
「はい?」
ガンッ
「へぶっ」
とか考えてたら電柱に衝突した。よいこの皆は考え事しながら歩かないようにしようね!
「…大丈夫か、佐和」
「貴様…もう少し色気のある声の一つや二つ出せんのか?何だ今の『へぶっ』は」
「色気の有無まで指図される覚えはないっ!!」
むっと頬を膨らませ、スタスタと早足で先を急ぐ。
そんな私を見て、武将達がハァと溜め息を吐いた後、直ぐ様私を追いかけた。
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