秘密のお遊戯



仁王さんは柳生さんと付き合っているらしい。周りがうっとおしがるくらいにラブラブだと聞いているのに、仁王さんは時折ふらりと大阪の俺のところへやってきて俺とセックスする。いつからそうなったかなんて覚えてない。気が付いたらそんな関係になっていた。
あ、因みに俺は千歳先輩と付き合ってる。キスもするしセックスもする。千歳先輩はちょっと俺に過保護なくらい。男同士やってことを抜いたらそこら辺にいる普通のカップルと変わりない…と思う。
仁王さんも、俺も普段は普通や。…普通なのに。

眠れずに目を開けむくりと起き上がると隣で寝息を立てる仁王さんを見た。仁王さんから自分の体に視線を移すとキスマークだらけだった。仁王さんもそう。

これは、俺らが付け合ったものではなく今ここにはいない俺らの恋人が付けたものだ。つ、とその跡をなぞると笑みが零れた。胸がきゅんとする。やってそうやろ?俺が千歳先輩を嫌いな訳がないから。むしろ大好きや。しばらくそれを続けていたら隣でくすりと笑う声が聞こえた。
「仁王さん、寝てなかったんすか」
「すまんの。光があまりにも可愛くてつい笑いをこらえきれんかった」くすくすと笑い続ける仁王さんをむっとしながら睨み付ければ仁王さんはそれに気付き笑みを深めると俺を布団の中に引きずり込んだ。
覆い被さるようにのし掛かられついばむように唇を合わせてくる。指先で鎖骨の辺りをなぞられると一瞬肌が粟立ち震えた。

「ん、ん…んぅ…!」
ぎゅっと閉じてから薄く目を開けば少し頬を染めて仁王さんが俺を見下ろしてた。その顔がめっちゃエロくて下半身がずくんって疼いた。
「ひかる、挿れんけん…もう一回」
仁王さんが熱いため息を吐くといつもは縛ってある伸びた襟足の髪の毛がぱさりと音を立てて広がった。
ええなぁ、仁王さん色気があって。俺もこれくらい色気があったら千歳先輩に可愛くおねだりとか出来るんかな。なんて頭の隅で考えてながらこくりと頷くと仁王さんは嬉しそうに笑った。

仁王さんは俺の顎の裏側?をべろべろ嘗めていく。俺は何となく仁王さんの胸板に目を向けるとぴん、と可愛らしく立ち上がった乳首に指を這わせた。
「ひぁっ!やあぁっ光、そこは、駄目じゃあ…!」
「仁王さん、可愛えっすわ」
口元だけで笑いつつそこを押したりつねったりして弄っていると仁王さんは涙で潤んだ目で俺を睨み付けながらいきなり俺の自身を握ってきた。
いきなりのことに思わず大きな声が出てしまいかぁ、と顔に熱が集まった。仁王さんはにやりと笑って勃ってる、と言った。上下に擦られて先端の部分をぐりぐりと爪で煽られるとそこから透明の色をした液体が止まらなくなる。
「あ、あ、あぁ、にお…さ…!」
いつの間にか仁王さんの乳首から手は離れていて、その手を仁王さん自身の方へ持っていかされる。恐るおそる触れたそれは熱くて握った瞬間に俺の自身から流れ出てるものと同じものがとろりと垂れてきた。
恥ずかしさで目の前が真っ赤に染まる。恥ずかしい、でも気持ちが良くて仕方がなくて。俺たちはお互いのものを擦る手を止められなかった。
「ふぁっあ、にぉ…あっ…!やあぁあ!!」
「あん、ぁ…!光、ぁん、ひかるぅ…!」
手の平に真っ白の精液が付着してべとべとして不快やて思ったけど、めっちゃ眠くてしゃーなくて後始末せんでそのまま放置するやなんて仁王さんに申し訳ないが深い眠りに落ちていった。
頭の中で仁王さんのえろい顔と、悲しそうに笑う千歳先輩の表情が浮かんだ。
再び目が覚めたらもう朝になってて、仁王さんはおらんかった。服も着てるし情事のあとは一切ない。仁王さんが後始末全部やってくれたんかな。悪いことしたわぁ。
ベッドから抜け出すと机の上にぽつんとメモが乗っているのに気が付いた。
メモには一言“千歳と仲良くな”的なことが書いてあった。いつもと同じや。今度はいつ来るんかな、とか次は俺から仁王さんのところへ行ってみようかなとか考えながら部活の用意をする。あと三十分もすれば多分千歳先輩が迎えに来るから、千歳先輩に会ったらまずキスして貰おうなんて思いつつメモを破いて丸めるとゴミ箱に放り投げた。








2010.10.9
…何も言うまい。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -