不安と幸せは紙一重らしい



※財前成り代わり番外編。でも本編とは関係ないです。千歳落ち前提話。クソ甘いので注意。







「光くん、ひかるくん」
「…」
「光君何で怒っとっと?」
「別に怒ってるわけやないです」
「本当に?」
「本当や!怒ってへんもん!!!」

千里さんの腕をぺちりと叩くとへらりと笑われた。多分俺が千里さんを構ったからや。俺はさっきから千里さんに背を向けて座っててそれを見て千里さんは俺が怒ってるって思ったらしい。いや、ほんまは怒ってる。やって見てもうたんや、今日女の先輩が千里さんに抱きついてた。千里さんは、俺のなのに。千里さんはやんわりと女の先輩を引き剥がしてたけど、不安でしょうがなかった。
やって俺は中身が前世のまんまで女の子やけど、外側男やねんで。千里さんはそれでもいいて言うてくれたけど、その事実は俺にとってコンプレックスのなにものでもなくていつも俺はそれで悩んでる。いっつも頭の中がぐちゃぐちゃして気持ちが悪いんや。

「やっぱり怒っとうたい」

千里さんが俺の腕を引っ張ってそのまま自分の膝に乗せる。そして包み込むみたいにぎゅーって抱き締めてくれてそれだけで安心する俺がいた。
「千里さん、好き。でも嫌いや」
「キライなんて言ったら嫌と。俺は光君大好きたい」
千里さんズルい。そんなん言われたら怒れんやんか。俺は小さく唸りながら千里さんの肩口に擦り寄る。前にやったら千里さん上機嫌でむぞらしかーって言いよったから何回もしてたら癖になってた。

「俺は、今の光君が好きだから心配せんでもよかよ」

不安にさせてごめんね、て言う千里さんは無茶苦茶懐深くてカッコよくて、小さいことで悩んでた自分が馬鹿みたいに思えてきた。千里さんの首に腕を回して抱きつくと千里さんは俺の背中を優しく撫でてくれた。
「光君むぞらしかね、えっちしたい。よか?」
「………死ね」
前言撤回。やっぱ恰好良くない。せっかくええ雰囲気やったのに、何言うてんねん!ムカついたからもじゃもじゃ髪の毛引っ張ってやった。ぶちっと音がして何本か抜けたらしい。千里さんは余程痛かったのか頭押さえて悶えとった。それが可笑しくて俺は柄にもなく声をあげて笑った。

不安と幸せは紙一重。やから俺、今の人生薔薇色やねん!

2010.4.5


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