いっそのこと、溶けて無くなるまで深く混ざり合えたら、なんて



「光君、あーん」
「…いきなり何すか」
にこにこ笑った千歳先輩がピンク色の飴ちゃんを差し出している。口開けろて言うてるんやろか。千歳先輩はよう俺に飴ちゃんやらチョコレートやらをくれる。甘味好きやからええんやけど、千歳先輩は俺に「あーん」言うて食べさせようとしてくんねん。人前でもしようとしてくるから恥ずかしくて堪らんのやけど。
「いらんと?」
こてん、と首を傾げる千歳先輩にきゅんとする。…っ!!!あかん俺千歳先輩のこの仕草めっちゃツボやねん!かわええ…!

「ん、」
ゆっくりと口を開けるところんと口内に転がり込んでくる飴ちゃん。甘いいちごの味が広がって、もごもご口を動かしながら目の前の千歳先輩を見ると目が合い微笑まれた。
「(今キスしたら、千歳先輩どんな表情するんやろ?)」
一瞬悪戯心が芽生えかけて首を振って否定する。そない危ないことしたら先輩の餌食になってまう。脳裏に千歳先輩の捕食者のようなギラギラした瞳を思い出して体の奥がきゅんとした。普段の優しい千歳先輩も可愛いくてええんやけど、その…エロいことするときの千歳先輩も強引で格好良くて好きやねん。
ってノロケかい…!
「光君、百面相してどげんしたと」
ぷに、と頬を千歳先輩の大人っぽいゴツゴツした指でつつかれて興奮した。嗚呼もうどうにでもなってしまえ。
「千歳せんぱい…」
熱っぽい目で見つめて唇を少し舐めてみせると千歳先輩の視線が俺の唇に集まるのを感じる。やばい、ぞくぞくする。いつから俺はこない変態みたいになってしもたんやろ。
「光君、随分誘うの上手くなったばいね」
「千歳先輩のせいやろ?」
「…そりゃ、そうたいねぇ」
千歳先輩の胸元にしがみついたあと背伸びをして顔を近づけるとどちらともなく合わさる唇。その唇の熱さに心臓がどきどきして破裂しそうや。千歳先輩がくれるものは、何時だって俺を夢中にさせる。千歳先輩が毎回飴ちゃんくれるから甘いものが前より好きになったし、その後にしてくれるキスも俺を魅了する。麻薬やないけど、中毒性が半端ないなぁなんて思った。千歳先輩中毒や。
「っぁ、んん…ん、む」
ぬるりとした熱い舌で俺の口内を抉るように強引にかき回されて頭の中が真っ白になる。同時にまだ残っていた飴ちゃんが千歳先輩の舌と一緒に口内を刺激して不覚にも気持ちええなんて思った。
中の飴ちゃんが溶けて無くなるまで深く貪り合ったあと唇を離す。名残惜し気に下唇を舐められてうっとりと千歳先輩に身を預けた。身を預けたまま切れる息を整えて千歳先輩を見上げると俺が好きなあの表情をちらつかせて微笑まれる。
「…いやらしか」
もっと深く、さっきの飴ちゃんみたいに溶けてしまうくらい混ざり合えたらきっと幸せなんやろうな。
…そう千歳先輩に言ったらどないな表情するんやろ。多分俺を魅了してやまないような表情するんやろうなぁ。嗚呼、どきどきするわぁ。
「千歳先輩、もっと欲しい」
呟いた言葉は甘く溶けた飴ちゃんみたいやった。溶けても、きっとずっと残っている中毒性のある劇薬のような甘さ。
「よかよ、来なっせ」






いっそのこと
溶けて無くなる程深く混ざり合えたら、なんて。



2010.5.4
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ビッチな光君でした^^
いや本当は光君に「飴ちゃん」て言わせたかっただけです←
…それだけ!!\(^o^)/

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