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久しぶりに千里さんに会った。メールとかはたまにやり取りしてたんやけどな。ていうか何でこないな短期間で髪黒くなるん。伸びるの早すぎやろ。数秒見つめ合っていたら千里さんの眉がくしゃって歪んで目からボロボロ涙が溢れ出した。えっちょ、えええええ。何で泣いとるん!?

「…金ちゃん先に行っとってや」

「…おん」

金ちゃんは千里さんと俺を見て何かを感じたのか足早に部室を出ていった。金ちゃんてかなり賢い子や。千里さんは金ちゃんが出て行ったのを見ると俺に近づいてきてぎゅっと俺の手を握った。それは迷子になった子供がやっと母親を見つけた時のような感じやって、少し微笑ましく思った。

「光君、会いたかった」

「…ん、久しぶり千里さん」

「メールだけじゃ、足りんたい」

千里さんと過ごしたのは二日間の中でもかなり短い時間やったけど、千里さんの中で俺はかなり大きい存在やったみたいや(自分で言うと恥ずいでこれ)でもそれを嬉しいて思うんは何でやろ。

「ていうか、何で千里さん此処におるん」

「それはこっちの台詞たい」

千里さんの涙がぴたりと止まり俯き気味やった顔が上がった。目が真っ赤でウサギさんみたいや。一瞬千里さんにウサギの耳生えて俺の名前呼ぶ姿を想像して吹き出しそうになったが堪える。あかん反則やめっちゃ可愛ええ。

「俺四天宝寺中やもん」

そう言うと、千里さんは目を見開いて見てわかるほど表情が明るくなった。

「本当と!?俺は今年から四天宝寺中に編入したばい!」

えっ!まじっすか。同じ中学やな!…って、あれ?中学??千里さんて何歳やったっけ。四天宝寺中に編入ちゅうことは中学生やんな…中学生!!!?教師とかやなくてか。

「ええええええええ!!?千里さん中学生やったんかっ」

「酷か〜。ちゃんと中学生しとるばい」

出来れば嘘やて言って欲しかったわぁ。確かに千里さん、背が高くて貫禄ありすぎるけどちゃんと中学生みたいに幼いとこあるし。うん、冷静になってきたで。じっと千里さんを見ると千里さんは四天宝寺のユニフォーム着とった。テニス部入るんかな。…右目大丈夫なんやろうか、ふとそう思ってそっと千里さんに手を伸ばし目尻から頬にかけてを撫でてみる。千里さんは擽ったそうに身をよじったが幸せそうに微笑んだから此方が恥ずかしくなる。あれ、よく考えたら俺もよくタラシ行動しとるで!?あかん、気をつけな。

「…光君」

名前を呼ばれ千里さんと視線を合わせると先程まで微笑んでいたとは思えないくらい真剣な顔して千里さんは此方を見ていた。その表情を見た途端どくん、て心臓が鳴った。身体中が心臓になったみたいにドキドキする。まるで…。いやちゃうで!よう考えろ自分!中学生相手になにドキドキしてんねん!いや俺も今は中学生やけど…!!

「一年離れたけど、まだ俺は光君を好いとう。」

「俺も千里さんも、男やで」

「そげんこつ、大分前から知っとうよ。それでも止まらんばい」

俺の手を取って、千里さんの心臓辺りに持っていかれる。俺の心音より遥かに早い心臓の鼓動が手の平から感じられた。

「後悔するで?」

「それは絶対に無いと」

へらりと笑った千里さんの瞳にはどれだけ探しても嘘なんか見当たらんくて。しゃーないなぁもう。俺は大きくため息を吐くとガシリと千里さんの首に腕を回し引き寄せる。近くなった千里さんの顔が驚きで溢れていて、笑えた。

「…なら、千里さんが卒業するまでに俺を落とせたら千里さんのモノになったるわ」

にやっと意地悪く笑うと千里さんも同じような笑みを浮かべて「受けてたつたい!」て意気揚々と言った。言うとくけど、そう簡単には落とされへんで。中身は恋愛経験豊富なお姉さん(三十路やけど)なんやからな!!

…まぁ答えてなんてもう決まってるのかもしれんけど。





2010.4.21

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