34 練習試合も終わって送るって聞かない景吾さんを振りほどいて帰路につく。流石に自家用ジェット呼ぶって言われた時は焦ってもた。ていうか氷帝も四天宝寺も部長は変人やねんな。悲しすぎるんやが。他の学校も部長は変人なんやろうか。めっちゃ気になるんやけど…!! 「光っ!今帰りなん?」 悶々と思考を働かせていると肩を叩かれる。このキラキラした金髪は謙也さんやな。この人どうやって髪の色抜いてるんやろ。 「何や、何か俺に付いとるんか?」 「謙也さんて自分で髪染めてるんすか?」 謙也さんの髪を指差すと一瞬きょとんとしたあとにっと笑った。前から思ってたんやけどよう笑う人やんなぁ。俺あんまり顔に表情出ぇへんから誤解されることあるん。やから羨ましいわぁ。 「嗚呼髪の色?これ地毛やでー」 「地毛っ!?染めとるんやと思ってましたわぁ」 「俺ばあちゃんドイツ人やねん。クォーター?ちゅーんか、こういうの」 ええなぁ、地毛で金髪。いや茶髪?俺純日本人て感じの真っ黒な髪色やから羨ましい。多分染めても黒っぽくなるやろうし。じっと見てたら前髪弄ってた謙也さんがこっち見て目が合った。あ、目も色素薄いんやなぁ。睫毛も金色や。そんなに外人って感じの顔してへんかったから気付かんかった。 「…やっぱ変やろ?この色」 変って、別にそんなん思わんけど。謙也さんは眉をハの字にして苦笑してた。前にそう言われたことあるんやろか。俺この色好きやねんけどなぁ。 「は?いや、めっちゃ綺麗っすわ。俺真っ黒やから羨ましい」 「ほんま?」 急に謙也さんの表情が明るくなる。いつもの謙也さんに戻った感じやな、良かった。ていうか何か謙也さん顔赤いんやけど熱とかあるんちゃう? 「おおきに!めっちゃ嬉しい」 そない良いこととか言うてへんけどなぁ。まぁええわ。礼言われるのも悪ないしな。謙也さんにふと小さく笑いかける(分かるか分からんかくらいのやつ)と一瞬謙也さんは瞬きして急に真剣な顔になった。 「一つ質問してもええ?」 部長といい謙也さんといい、何でそない急に真剣になんねん。 「ええっすけど」 そう答えると謙也さんは痛いくらいに俺の肩を掴んで目を合わせてきた。その瞳の中が妙にギラギラしてて今日の昼の部長の姿とダブって見えた気がした。 「光は白石好きなんか?」 その言葉に驚いた。何で部長?…そう言えば部長も謙也さんのことになったら急に真剣になったんや。何時も見てる限りでは部長と謙也さん、どっちかで言うたら仲ええ方や思ってたんやけどほんまはちゃうんやろか。 「…何でそう思うんすか」 「その、今日の昼間に白石と…キ、キキキスしとったやんな。やから付き合っとんのかと」 あれを見てたんか!!!出来れば今すぐ忘れて欲しいんやけどっ!謙也さんの頭叩いたら忘れるやろか!!? 「ちっちゃうねん!あれは部長が勝手に…!」 部長のアホ。もう一週間口聞いたらんで。脳内で部長をフルボッコにして謙也さんを見ると謙也さんはそうなんか、て言うて安心したて感じのふにゃふにゃ顔した。え、どないしてん。…あ!!!わかってもた!!!謙也さん部長大好きなんやな。やから俺に取られるの嫌なんやろ。じゃあ部長も謙也さん好きなんやろか?やからあんな怖かったんや。それなら説明つくわぁ! 「謙也さん、心配せんでも俺部長取るつもりなんて欠片もあらへんから!安心してや!」 「え?…はぁ!?アホっ!ちゃうわ!!」 「俺、応援しとりますんで。頑張って下さいね」 「やからちゃうて言っとるやろぉぉぉぉおお!!!」 「じゃあ俺はこっちなんで。男同士やなんて障害多い思うっすけど、俺は謙也さんの味方っすわ」 何か騒いでる謙也さん置いて俺は自分の家に帰る道を歩き出した。そうなんかぁ、謙也さんが部長をね。確かに部長変態やけど美人やしな、好きになるんわかるで。あーすっきりしたわぁ。 それから数日、なんや謙也さん落ち込んでたんやけどそれのほんまの理由を俺は知るよしもなかった。 2010.4.9 ________________ あれ…こんな筈じゃなかったのに(^q^(← あっ、光君の勘違いですからね。これ光君総受け(逆ハー?)ですから!! でもそれはそれで美味しいかもしれない←← いつか謙也と白石のそういう話題も書きたい^^ |