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久しぶりに部活に顔を出したら先輩らは既に皆来とって此方を見て駆けよってきてくれた。無茶すんな言うて頭小突いてくるんやけど先輩らは笑ってた。それにちょっと恥ずかしくなる。小春先輩は俺が来たと同時に俺を追いかけてきて珍しく本気モードやったから俺も本気で逃げてもた。やって何やハァハァいうてたし。身の危険を感じた。ま、一氏先輩が涙目で止めとったけどな。

「財前と小春。来て早速なんやけど今日氷帝と練習試合するねんで。何か向こうから言うてきてん、断る理由もないから受けてもた」

おん、景吾さんに聞いたから知っとんで。爽やかに笑う部長に俺は頷くが小春先輩は驚いてた。

てか氷帝って部員めっちゃ多いんやなかったっけ。全員来たら四天宝寺のコート全部埋まってまうんやない?そんなことを考えながら校門の方を見ていたら鞄の中から携帯が鳴る音がした。

「なんや、光。マナーモードにしとかんと教師に取られてまうでー」

「すんません」

電源を切ろうとして携帯の画面を見た瞬間携帯落としそうになってもた。画面には跡部景吾の文字が表示されてる。えー、何でやねん。電話せんでも今から会うやん!それとも練習試合のことで何かあったとか、いやそれやったらオサムちゃんとこに連絡行く筈やんな。無視して電源を切ろうしたが、景吾さんのことや。後で何か言われそうやわぁ。しゃーない人やな。隣で着替えとる謙也さんに一言謝って電話を取る。謙也さんが取るんかい!て言うてたけど面倒やから無視する。

「…何やねん」

思ったより低い声が出た。そういえば俺は機嫌悪いと声低くなるんやて兄貴が言ってたなぁ。

『くく、言うと思ったぜ。あと数分でそっちに着くから外にいろよ?どうせ今部室にいるんだろ』

「えぇー…面倒くさいっすわぁ。てか何で部室にいるって知ってんすか」

『お前は日向にいるのが苦手だからな、何となくだが行動パターンは読めてる』

「苦手て教えましたっけ?」

確かに苦手やけど、景吾さんに言ったっけ。まぁええわ。俺は電話しながら急いでユニフォームに着替える。上を着替える時は流石に電話離したけどな。景吾さんと少し談笑したあと携帯の電源を切って制服と一緒に鞄に押し込む。気がつくと部室には俺一人だけやった。先輩らもう外に出たんやな。あ、俺もはよ行ってボール出さなあかん。ボール出すんは一年の仕事やし。まぁでも基本四天宝寺は勝ったもん勝ち精神でテニスやっとるから実力あるんは待遇されるんやけど。

ラケット持って外に出るとボール入った籠を運びよる同級生を見つけたからそれに加わった。これ結構重いんやで。ボールの入った籠を指定の位置に置いた後、部長の元へ向かう。

「部長、もうすぐ氷帝来るっすわ」

「ん?何でそないなこと分かるん」

「さっき景吾さんから電話来たんや」

景吾さんの名前を出すと部長は驚いたように目を丸くした。俺は校門からバスが入って来るのが見えてそっちを見たんやけどあのままやったら部長から質問の嵐に合うとこやったやろな。
てか、景吾さん…。氷帝専用のバスで来るとか派手やんな。





2010.4.3



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